☆ 解決策は、日本道路公団の解散と石原大臣の更迭なのでは? ☆

里見哲

 石原国土交通大臣と藤井日本道路公団総裁の争いが注目されている。典型的な天下りの藤井総裁の居直りも醜いが、石原大臣の正義感ぶった振舞いにも違和感を覚える人が多いだろう。公団に財務諸表が存在したか存在しなかったかが問題なのではない。ようは、藤井総裁は、公団創設の目的に相応しい経営を行っていたかが問われるべきである。藤井総裁のロジックでは、「公団のやっていたことは、全て国土交通省と打ち合わせて行ったことであり、日本道路公団が非難されるなら、当然国土交通省も非難されなければならない。公団総裁を更迭するのは、トカゲの尻尾きりであり、国土交通省こそ責任を取るべきであろう」という主張のようだ。つまり総裁はロボットにすぎないと言っているようだ。

 一方、石原大臣のほうは、藤井総裁のいわゆる虚偽答弁、経営資質という個人的問題から総裁を更迭しようとしている。このような解決策は、上手く機能していない組織でしばしば行われている(例えば大学のサークル活動)。問題は、個人的問題か国土交通省と日本道路公団の組織的、制度なものかということであり、両者の議論がかみ合わず、第3者にとって、空しいものに響くということであろう。

 しかし、結論は、藤井総裁に日本道路公団を経営する資質もないし、国土交通省は、今回の不祥事に関し、組織的責任を負わなければならず、総裁を更迭すればすむ問題ではないということだ。もし石原大臣がこの問題について藤井総裁を更迭するだけで解決すると思っているとすれば、大臣自身も国土交通省を統括する資質に欠けるということになろう。

 つまり、石原大臣も藤井総裁もお互い様ということになるのだが、哀れなのは、国民と日本道路公団職員である。トカゲの尻尾が絶対的権力者として君臨するような組織では、到底碌な仕事をすることはできまい。その間に、各種利権で潤う人たちが存在する一方、国民は、なんの効用もない道路作りで税金を無駄使いされているということだ。

 解決方法は、もはや使命を終えた日本道路公団の解散と政治家としての資質を感じられない石原大臣の更迭ということなのであろう。公社、公団の使命は終えた。役に立たない公団や外郭団体ばかりが、市場原理の淘汰から取り残され、引き続き利権に胡坐を掻いているようでは、小泉首相の掲げる「構造改革」が機能していない一つの指標となるであろう。正義を振りかざし、国民に対する責任は何かを考えない政治家にはもう飽き飽きした。国土交通省もついでに解散するのが、国民のためになるのではないだろうか。もっともこれも大学サークル並の解決策に過ぎないが・・・・。

(H15/10/31記)


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