☆ 麻生外相の天皇陛下靖国参拝発言 ☆

里見哲

 麻生外相が靖国神社問題に関して、「靖国神社に天皇陛下が参拝なさるのが一番だ」と発言したと報道されている。多くの英霊の方は天皇陛下のために万歳と言った。首相万歳と言った人はゼロだ。というのが理由だそうだ。

 これはとんでもない発言だろう。1.一閣僚の身分で天皇陛下に自分の考えを押しつけるつもりなのか? 2.現在の天皇は、人間宣言後の天皇である。天皇の思想・信条の自由について干渉するのは憲法違反にも匹敵するのではないのか? 3.人間宣言以前の天皇陛下と現在の天皇制下の今上天皇を連続したものと見るのか? 以上の理由から、小泉首相は即刻麻生外相を罷免するか、総辞職するべきだろう。日本の民主主義に対する冒涜、挑戦と言っていい暴言である。「外交問題に発展する発言は遺憾である」という社民党、福島党首の抗議は、より大きな問題を見落としている。

 外国政府が日本に国立慰霊施設を作れと言うのなら、これは明らかな内政干渉である。しかし公平な裁判であったかは別として、東京裁判におけるA級戦犯を祀っている靖国神社への首相参拝については、内政干渉とは言いきれない面がある。東京裁判を否定するのは自由であるが、その裁判の結果を受け入れて加盟した国連(連合国)の常任理事国を目指すというのは、筋が通らない話である。少なくとも国連への拠出金を無くし、総会を全部欠席するくらいの覚悟をしなければなるまい。むろん国連からの名誉ある脱退でも良い。

 麻生外相や石原知事の天皇陛下を思想、信条の自由を保障されている国民以下に見下したような発言は、危険極まりないものである。現在の天皇制は多々の問題点を抱えているが、麻生氏や石原氏が国家元首となる道を排除している点では優れているのかもしれない。麻生氏は即刻辞任するべきだろう。今、天皇制、民主主義が問われている。

(H18/1/29記)


[ Back ]



Copyright(c) 2003 IDEA-MOO All Rights Reserved.