☆ がんばれバッファローズ ☆

里見哲

 近鉄球団の命名権問題を巡り、反対意見が続出した。報道されている限りでは、渡辺さんというオーナーは、近鉄の名称売却の断念は民主主義の勝利だという趣旨の発言をしたとのことだ。民主主義という言葉も手垢にまみれたものである。セ・パ交流試合が実現しないのは、独善的なオーナーの反対により、その民主主義とやらが敗北しているからではないのだろうか。

 近鉄の段取りは確かに悪かった。TBSのように親会社の名称を使わない球団から見ればとんでもない話であるし、企業PRにだけ使いたい親会社にとっては、そもそも球団を所有する意味が無くなるので、双方が反対するのは自明であったはずだ。特に前述の渡辺さんというオーナーは、ビジターのユニホームの標記を親会社の名前に変えるほど商売熱心な人だからタイミングも悪かった。当然のことながら、オーナーの多くにとって、野球とはファンが楽しむためのものではなく、親会社のためにあるのだろう。ファンにとっては、東京ジャイアンツでも名古屋ドラゴンズでも別に困らないのである。

 渡辺氏に敵対すると言われているメディアも、近鉄の行為を非難するばかりで、問題の本質を追及していなかった。その中で、元ダイエー、西武球団代表の加盟料30億円を廃止し、球団売買の環境を整えるべきであるという意見が目に付いたくらいである。今回の出来事は、そもそも球団名に親会社の名前をつけることの是非を巡る議論とする絶好の機会であったはずだ。ファンにとって親会社の名前などより、面白い試合が多く見られることが願いなのだ。そのために財源をどこから持ってくるかということは当然検討されるべき事項である。たとえば、Jリーグは、チーム名に企業名を使用することは禁じているが、ユニホームにオーナー会社以外のロゴを入れることは認めている。今回の問題は、チーム名にまつわる矛盾点を突いたという側面があるだろう。他のオーナーが批評家風のコメントを出していたのは単なる欺瞞であった。

 今や日本の最良のインテリ集団であると目されているスポーツジャーナリストたちは、もっとファンや野球を楽しくみるための仕掛けについて論ずるべきで、単に近鉄を非難することなど、誰にでもできるだろう。物心ついてからの近鉄ファンとして、バッファローズに心からの声援を送りたい。敵性メディアに負けるな。目指せ日本一。

(H16/2/12記)


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