☆ ワクチン接種 ☆

井出薫

 いよいよ、日本でも新型コロナのワクチン接種が始まる。医療関係者には2月中、高齢者など重症化リスクが高い者には4月から始まる予定だ。

 ワクチンとしては異例の開発期間1年ということで、有効性、安全性に不安がある。しかし、治験のデータ、接種を開始した各国のデータを見る限り、製品によって違いがあるが、有効性は高く、副反応も心配するほどのものではないと評価できる。

 感染予防率95%と有効性が最も高いと評価されているファイザー製では、20万回に1回程度アナフィラキシーがあったと報じられている。しかし、あらゆるワクチンや薬でごく稀ではあるがアナフィラキシーは生じる。たとえば、医療機関でよく処方されるペニシリン系の抗菌薬でもアナフィラキシーは起きる。卵、小麦、蕎麦、甲殻類などの食品でアナフィラキシーになる者がいることはよく知られている。アナフィラキシーで最も有名なのはススメバチによるものだろう。スズメバチに2回刺されると危険だということは、刺された経験がある者なら誰でも知っている。また、新型コロナ用ワクチンで、アナフィラキシーで死に至った者は今のところいない。これらのことを考え合わせると、アナフィラキシーは、過去にアナフィラキシーを経験したことがある者などハイリスクの者を除くと、接種を忌避する理由にはならない。

 むしろ、多くの接種者に生じている筋肉痛、頭痛、発熱、倦怠感などの方が問題となろう。いまのところ、重症になったという例はないようだが、引き続き、十分な情報収集が欠かせない。あと、感染して無症状の者が、気づかずに接種した場合に重症化することはないのか不安が残る。この点は特に報じられていないようだが、感染が蔓延している状況では、大いにありえる話しだから、ぜひ確認してもらいたい。

 中国、台湾、ベトナム、ニュージーランド、タイなど感染を封じ込めた国、地域を除くと、新型コロナは市中に広がっており、ワクチンを普及させない限り、パンデミックは収まらない。特に、高齢者では、新型コロナに感染して重症化したり死亡したりするリスクの方が、ワクチン接種に伴うリスクよりも遥かに高く、医師が回避した方がよいと判断する場合を除けば全員接種が望ましい。40、50代でも重症化し死亡する者がおり、可能限り全員接種が望まれる。20代、30代は重症化リスクは低いが、周囲に感染させることもあり、やはり接種が推奨される。ただし、20歳未満では、重症化リスクが極めて低く、感染者数が少ないことを考慮し、メリット、デメリットを十分に評価したうえで、慎重な判断が必要となる。

 いずれにしろ、感染拡大、規制、解除、感染拡大の繰り返しから脱却するためにはワクチンを普及させるしかない。行政は広く情報を収集し、適切な情報をタイムリーに提供することで、ワクチン接種が円滑に進むように努めてもらいたい。


(2021/2/6記)


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