☆ 民進党は学習を ☆

井出薫

 臨時国会で、蓮舫代表、野田幹事長、二人の民進党幹部が代表質問を行った。少しばかり期待していたが、発言内容をネットで閲覧して正直落胆した。特に元首相である野田の発言は極めて残念だった。

 日銀のマイナス金利を批判して、政府は撤回するよう要請すべきではないかと野田は主張した。元首相ともあろう者が日銀の独立性の意義を知らないはずがない。それなのに、この発言だ。日銀の金融政策に国会議員は安易に口出しをするべきではない。しかも、マイナス金利批判の根拠が金融機関の経営に大きな悪影響を及ぼしているからだという。マイナス金利と言っても、金融機関の日銀当座預金の一部にしかマイナス金利は掛かっておらず、現状で金融機関に大きなダメージを与えているとは言えない。寧ろ、マイナス金利を口実にして手数料引き上げと預金金利引き下げを当たり前のことのように実施する金融機関にこそ問題がある。また、マイナス金利を批判するにしても、預金者保護の観点からするべきで、金融機関の経営を持ち出すようでは、民進党は企業利益の代弁者と疑われても致し方ない。

 自らが心血注いだ政策を否定されたと思っているのか、消費税引き上げ延期を扱き下ろす。だが現状での延期は妥当な決定であり、現状認識ができていないとしか言いようがない。また、相変わらず行政改革・財政健全化一本遣りで、失敗から学んだ形跡が全くない。確かに年金などの財源確保に消費増税は止むを得なかったかもしれない。だが、デフレ下での増税はそれだけでは景気の更なる失速を招き、増税効果を打ち消してしまう。だから増税に併せて強力な景気対策が必要だった。ところが野田は何もしないでただ増税だけを決めた。その結果、大規模な金融緩和による景気浮揚を掲げる安倍自民党に大敗を喫することになる。そのことをまるで理解していない。

 TPPや外交についての発言も何の新味もない。これでは政権奪回など夢のまた夢でしかない。

 自民党、特に安倍首相は政権の座から転落するという現実から、それなりに学習した。何が駄目だったのかを考えた。改憲や戦後体制の転換などというイデオロギー色の強い政策ではなく、国民経済を改善するという地道な政治こそが政権の安定に欠かせないことを学んだ。民主党も、なぜあれほどまでの大敗を喫し、その後も低迷を続けているのか、とことん考え抜き、そこから学習しないと駄目だ。若く、賢く、弁が立ち、ビジュアルも抜群の蓮舫を代表にしても、今のままでは、自民党が大失策をするのを待つしかなく、党勢の回復など到底期待できない。

 安保法制や特定秘密保護法の際に明らかになったように、自民党一人勝ちの状態が続くことは、民主制の形骸化に繋がる。それを阻止できるのは、今のところ民進党しかない。そのためにも、民進党は民主党政権誕生以来の失策から学び、新しい思想と運動をそこから導き出してもらいたい。


(H28/10/9記)


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