☆ 銀行を国有化したら ☆


 合併すると経営基盤が安定しサービスが良くなると期待する。しかし銀行は合併しても一向にサービスが良くならない。いや、むしろ悪化する。

 町の人々が憤慨している。駅北口の店舗が駅の反対側の店舗に統合されることになった。歩いてすぐの場所の店舗を統合するというのなら別に問題ないが、統合される二つの店舗は決して近くない。小銭への両替は今まで無料だったのが3千円以上は有料化されたと聞いた。会社員には両替は問題ではないが、客との取引に小銭の用意が欠かせない商店街にとって損失は小さくない。母親が通っている美容院では、両替手数料を減らすために主人と店員が買い物で集めた小銭を商売に使っているらしい。

 銀行の窓口が土曜日に営業していたらと思ったことがない者はおるまい。だが土曜営業の兆しは全くない。民営化されたゆうちょ銀行が土曜も営業してくれないものだろうか。そうすれば、ゆうちょ銀行に口座を移す者が続出して他の銀行も追従せざるを得なくなる。だが、そうならないように銀行経営者たちは政治力を駆使し、ゆうちょ銀行や政府に圧力を掛ける。そもそも、ゆうちょ銀行も「銀行」という名に相応しくお役所体質から抜け出していないから、苦労してまで土曜日に営業しようなどとは考えない。結局、周囲の目を気にしながら時間を見つけ、会社を抜け出し銀行の窓口まで走る日々が続く。

 銀行が私企業であることに何か利点があるのだろうか。景気が悪化するたびに合併ごっこを繰り返しているだけで健全な競争をしているとは思えない。元来、金融業は競争に馴染まない業種なのだ。

 ならばいっそのこと銀行を統合・国営化し、土曜日も営業するように法律で定めたらよい。全銀行を統合し国営化した(仮称)日本国営銀行がサービス向上のために全国で正社員を新規採用したら日本の雇用情勢は飛躍的に良くなる。一時的には税金投入が必要になるかもしれないが雇用安定は内需拡大に繋がり、支出の増大を税収の伸びでカバーできる。

 競争がなくなったらサービスが悪化すると銀行はこぞって反対するに違いない。しかし、現状は市役所など公的機関よりもサービスが悪いのが銀行だということをしっかりと認識してもらいたい。ごく普通のまともな者が経営者になれば、たとえ独占になっても今よりもサービスが悪化することは物理的に不可能なはずだ。


(H21/8/28記)


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