鳩山民主党代表が献金疑惑で窮地に立たされている。自民党の不人気でまだ民主の勢いは続いているが、このままでは長くは持たない。 危機管理が全くできていない組織、その典型が民主党だ。かつて金脈問題で辞任に追い込まれた田中角栄元首相の後任に、当時の自民党は、党内第二勢力の福田赳夫ではなく、小派閥ながらリベラルでクリーンなイメージで広く国民から支持があった三木武夫を選び危機を乗り越えた。女性問題で大打撃を受けて就任後すぐに失脚した宇野宗佑元首相の後任には、愛妻家(恐妻家?)として広く知られていた海部俊樹を選び自民党に対する国民の支持を回復した。ところがどうだ。金の問題で辞任に追い込まれた小沢の後任に、またぞろ献金疑惑の鳩山を選んだ。なぜお金で問題が起きることがない人物を選ぶことができなかったのか。この驚くべき能天気、危機管理能力の低さには呆れる。これは今に始まったことではない。偽メール事件で前原元代表が失脚した時もそうだった。少しでも裏付け調査をしておけばあのような失態を犯すことはなかった。若き有望な議員が自らの命を断つこともなかっただろう。 今のままではたとえ民主党政権が実現しても、鳩山首相は献金疑惑問題で立ち往生となり政局が再び混迷することは目に見えている。いや次の選挙は自公も民主も過半数を取れない可能性が高い。その場合、キャスティングボードを握るのは共産党になるが、鳩山が首相候補では共産党は決戦投票で棄権する。そうなれば、過半数に満たない少数政党が政権党になるのか、それとも保守大連立で危険な独裁政権が誕生するのか、いずれにしても国民にとっては甚だ迷惑な事態が訪れる。「今からでも遅くはない」とはとても言えた時期ではないが、民主党が本気で政権を獲得する意志があるなら周囲から失態を批難されようとも党首を変えるべきだ。 自民党長期政権が生み出した歪みを是正するためにも政権交代が望ましい。だが今の民主党では「望ましい」とも言い切れない。選挙民は、来る総選挙では実に悩ましい選択を迫られることになりそうだ。 了
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