☆ コンピュータウィルスと日本人 ☆

井出薫

 コンピュータウィルスの話題が新聞紙上を賑わしている。ブラスターの亜種を作ったアメリカの高校生が逮捕されたというニュースは記憶に新しい。ウィルスによる経済的損害は相当な額になると聞いている。

 ウィルス対策ソフトが普及して昔ほど簡単に感染はしなくなったが、新種のウィルスは絶えることがない。ウィルス対策ソフトは、新しいウィルスが登場してからウィルス認識用の新パターンファイルを作るから、感染がゼロになることはない。ウィルスやハッキングはIT社会の宿命だと覚悟しなくてはならない。

 ところで、ウィルスの作成者はたいてい外国人で日本製のウィルスは余り聞かない。マイクロソフトオフィスのマクロ機能を使ったマクロウィルスが流行ったときには日本製のウィルスもあったようだが、最近は聞いたことがない。どうしてだろう。

 日本人が善良だからだと言いたいところだが、実はそうではなく、日本人のソフトウエア能力が低いからではないだろうか。
 日本企業でも、インド人や中国人を雇用してソフトの開発をしているところが少なくない。人件費の問題もあるかもしれないが、インド人や中国人の方が日本人より遥かにソフト開発能力が高いと聞いたことがある。プログラミング言語は英語ベースだから日本人は不利だなどと言う人もいるが、それなら中国人も同じはずで理由にならない。

 国土が狭く資源も少ない日本は、技術立国として生きていくしかない。ソフトウエア能力が低いのが本当なら由々しき問題だ。バイオやナノテクでもハードよりソフトが大切だ。

 犯罪行為を推奨するつもりはさらさらないが、ウィルス作成やハッキングはソフトウエア能力を高める最良の方法だ。お堅いことを言っていないで、ハッキングやウィルスコンテストを開催して優勝者に賞金を出すことを真剣に考えた方がよい。

(H15/9/11記)


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