☆ 光にご用心 ☆


 最近、FTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)の勧誘の電話が頻繁に掛かってくる。ADSLからの乗り換えの勧奨だ。確かに光はADSLより高速で品質も安定している。

 しかし自宅に高齢者がいる者としては停電が気にかかる。近頃は滅多に停電はないとは言え、光にすると停電時に通話ができなくなる。メタルならば電話局側給電なので停電しても通話はできる。電話局には大容量のバッテリーがあり自家発電装置も備わっているから停電の影響はない。だが光では自宅に設置される回線終端装置が停電で動作しなくなり電話が使えない。停電対策にUPSを購入しようにも置く場所がないし、手軽に購入できる価格帯のUPSでは30分から1時間程度しか持たず、停電が長引いたら焼け石に水になる。

 もし深夜急病人が出て救急車の手配が必要になったとき停電していたらどうなるのか。考えただけでもぞっとする。確率的にはいくら低くとも可能性はある。携帯電話でも救急車は呼べると言われるかもしれないが、広域停電だと携帯の基地局も停電する。基地局は屋外にあり電話局内のように長時間のバッテリーがなく自家発電装置もないから停電から3時間から6時間くらいのうちに通信できなくなる。つまり光にすると停電してから6時間後には消防や警察など緊急機関への通報は不可能になる。それでも昼間ならば近所の人に助けを求めることもできるが、夜間はそうはいかない。

 NTTの計画通りには進んでいないとは言え、光の普及は急ピッチだ。しかし光を導入した利用者が停電時の怖さを理解しているとは思えない。電気通信事業者と機器メーカーは対策を研究しているが、将来の技術開発頼みで、現状では抜本的な解決策はない。光は速くて安定している、価格もADSLと変わらないという甘い言葉に惑わされている人に忠告したい。家に老人や子供、病人がいたら、光を導入するにしても、メタル回線(アナログ電話)を1本は残した方がよい。尤もそんな余裕はないという家庭も少なくないだろう。そもそも、この重要課題が解決していないのに光の導入を急ぐ電気通信事業者の姿勢にも大いに疑問がある。


(H21/6/14記)


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