井出薫
麻生首相の発言が相変わらずぶれている。郵政事業4分社化体制の見直しを言いだして党内の抵抗に遭うとすぐに前言を撤回する。給付金では相変わらず貰うのか貰わないのか意見がころころ変わる。就任当初は与党内から首相は明るくて選挙の顔にうってつけなどと言われたが、これでは「明るい」ではなく「あっ、軽い」だ。(我ながら下らない) 給付金の受け取りなど大した問題ではないが、郵政民営化方針などは安易に前言を撤回しては困る。政府紙幣を発行するという案が与党内で急浮上、首相は反対の姿勢をとっているが、この調子ではいつ言うことが変わるか分かったものではない。 首相の資質に問題があるのかもしれない。だが給付金やら政府紙幣発行やらの話しが急浮上し、首相の言動がぶれる背景には明らかに年内に迫った選挙がある。選挙を睨んで各党とも目先のことしか考えていない。政府紙幣発行に必ずしも反対ではない。ただ発行規模が小さければ経済効果は薄く、発行規模を大きくすると高い率のインフレを招き年金生活者や低所得者に大打撃を与える危険性があり、十分な検討を経ずして安易に導入することは許されない。選挙目当てに選挙前に導入決定などということになったら将来に大きな禍根を残す。 こうなったら早く選挙を実施して、じっくりと腰を据えて政策を立案実行できる内閣を作るしかない。麻生首相はいたって健康のようだが若くはない。世間相場で言えば定年を過ぎており、地位に恋々とする歳ではない。水戸のご老公(黄門)のようにご意見番として不正をただすのが相応しい役回りだ。選挙結果がどうあれ、さっさと選挙を実施した方が国民に感謝されることになる。早急な決断を望みたい。 了
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