☆ アマチュアの審判は公平か ☆

井出薫

 夏の甲子園では広陵高校の監督が、早慶戦では早稲田大学の監督が審判批判を口にして物議を醸している。審判の判定に文句を付けることはプロでも許されない。況や勝負よりもフェアプレイが大切なアマチュアスポーツで、監督が審判の判定を批判するのは不見識だ。特に早稲田の監督は主審が優勝の可能性が残っていた明治大学OBだったことを取り上げて、だから不公平な判定だったと言い立てているが、負けた腹いせで言い掛かりをつけているとしか言いようがない。逆の状況で早稲田OBが審判を務めたことだって過去何度もあるはずだ。

 確かに判定がおかしいと感じることは少なくない。だが凡打がイレギュラーバウンドしてヒットとなり勝負が決まることがあるように、審判の判定で勝負が決まることがあっても致し方ない。球が審判に当たり状況が一変することだってある。

 とは言え、いくら審判の判定は絶対だと言っても、意図的に不公平な判定をすることは許されない。ところが、野球に限らず、審判が特定のチームや選手に有利な判定をしていると疑いたくなる場面にしばしば出会う。

 プロスポーツの世界ではホームタウンデシジョンという言葉があり、地元チームや選手に有利な判定がなされることは珍しくない。プロの場合は、娯楽という観点で、度の過ぎた不公平な判定やそれに伴う便宜供与などは論外だが、ある程度は判定に偏りがあっても致し方ないところがあろう。しかしアマチュアスポーツはフェアであることが何よりも求められる。観衆の多くが特定チームを応援している、普通に判定をしたらワンサイドゲームになるなどという理由で意図的に偏った判定をすることは絶対に許されない。

 しかしながら、アマチュアの審判が常に公平だとは言えないようなのだ。高校野球では試合を盛り上げるために偏った判定をする審判がいると以前から囁かれている。ラグビーでは、早稲田が弱かった頃、審判は早稲田の反則は見て見ぬ振りをすると言われていた。事実、筆者が観戦した試合で疑われても仕方ないと感じることが幾度かあった。

 この際、監督を批判するだけではなく、全てのアマチュアスポーツで審判に不公平な判定がないか検証をしてみてもらいたいものだ。

(H19/11/3記)


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