井出薫
39度を超える高熱に襲われた。パソコンに向うことは言うまでもなく、新聞、雑誌、書籍も読む気がしない。無理して読んでも一向に頭に入ってこない。なんだか画面のちらつきが気になりテレビも観る気にならない。ひたすら回復するまで待つしかないのか、暗澹たる気分に襲われたとき、思わぬ救いとなったのが携帯電話だった。 寝床に臥せっていても、携帯電話で野球やラグビーの途中経過や結果を知ることができる。ニュースも見ることができる。日頃は文字ばかりで写真や画像が乏しい携帯電話で閲覧するWEBは詰まらないと思っていたが、高熱があるときなどは却って文字だけの方がすっきりしていてよい。 筆者は、そこまでは遣らなかったが、病気で一人不安なときは、友人に頼んで3時間おきにごく簡単なメールを携帯に送ってもらい、それに用意しておいたメール文を返信するという使い方をしている人もいるらしい。なるほど、それはよいかもしれない。機会があったら使ってみよう。 いざと言うときには、救急車を呼ぶこともできるし、病気になったときには携帯電話がとても便利で頼もしい仲間だということを認識した。日頃、電車の中で携帯のメールやゲームに熱中している人を見るたびに、他にもっとマシなことはないのかと些か軽蔑していたが、携帯電話が現代人にとって不可欠で有益な道具であることを認めないわけにはいかないようだ。 |