☆ もっとパリーグの試合を ☆

井出薫

 (9月16日現在)上位3チームのゲーム差が僅か1。これほどまでペナントレースが盛り上がったシーズンはない。2チームが最後の最後まで優勝を争ったことは何回もある。だが、今年のパリーグは残り10試合を切ったにも拘わらず、3チームのどこが優勝するか全く予想が付かない状況だ。プレイオフ制度で一位になったチームが優勝とは限らないにしても、これ以上ない面白い展開になっている。しかも、西武には松坂、ダイエーには斉藤という日本球界最高の投手がいる。日本ハムには甲子園を沸かせたダルビッシュ、新人王確実の八木がいる。打者でも松中、和田、小笠原など最高の役者が揃っている。今年のパリーグはセリーグよりも遥かに面白い。

 こんな面白いパリーグの試合をテレビはほとんど中継しない。優勝の可能性がなくなり目標を失って気の抜けたプレイが目に付く巨人戦を未だに(ときどき)放映している。これでは視聴者のプロ野球離れが進むのは当然だ。

 幾ら競ってもパリーグの試合は視聴率が稼げないとテレビ局は言う。だがそれはテレビが中継しないために、視聴者がパリーグの選手を知る機会が少ないのが原因だ。シーズン当初からセリーグだけではなく、パリーグの試合も適宜中継していれば、今頃、中日阪神戦よりも、ソフトバンク日ハム戦の方が視聴率を稼ぐことができたはずだ。

 里見が以前指摘したとおり、野球中継の視聴率が下がっている最大の原因は巨人中心主義から脱却できず、野球の魅力を視聴者に伝える努力をしていないテレビ局自体にある。大相撲と並ぶ戦後日本の代表的文化であるプロ野球を守るためにも、野球中継のあり方を抜本的に見直してもらいたい。

(H18/9/16記)


[ Back ]



Copyright(c) 2003 IDEA-MOO All Rights Reserved.