☆ 都民税をあげろ ☆


井出薫


 ラッシュアワーの電車に乗るたびに思うことがある。日本人は本当に我慢強いと。筆者も、毎朝、中央線の某駅を利用しているが、混雑は尋常なものではない。最前列で待っていても乗車できないことがよくある。こんな状態が30年以上も続いているのだ。なんとかならないのか。
 増便は不可能だ。いまでも、数珠繋ぎに電車はやって来る。あれで、よく事故がおきないものだと感心するほどだ。新たな路線を開通しようにも土地がない。
 要するに、首都圏に人が集まりすぎている。これを解決しないとどうしようもない。

 歴代の都知事は、遷都や首都機能移転に反対してきた。だが、首都圏への人と資本の集中は度が過ぎている。これは人口と資本流出に悩む地方の問題とも繋がっている。
 石原都知事も、税収が減るから首都機能移転反対だなどと言わないで、全体的な視野で首都機能移転案を検討するべきだ。

 とはいえ、首都機能移転が日本の利益に繋がるか疑問だ。首都機能移転というトップダウン方式で過密解消・地方振興を図るのではなく、人々が自然に地方へと移る仕組みを作り出すことが望まれる。

 そのために、都民税を大幅にアップすることが有効だ。外形標準課税は大手銀行だけに適用したから違法とされた。年商100億円以上の企業全部に適用すればよい。粗利の10%程度の課税をおこなえば、大幅な税収増になり都の財政も改善する。一定額以上の固定資産への課税額も大幅に値上げする。これで赤字になる企業は自然と東京から地方に移転する。企業が移転すれば人も資本も移る。

 このご時世に増税など正気の沙汰ではないと言われるかもしれないが、超過密な電車を放置していることだって正気の沙汰ではない。増税は検討に値するはずだ。

(H15/5/8記)


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