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人類が戦争や環境問題を克服して千年後も存在したとしたら、夢はどこまで実現できているだろう。 政治経済の問題でいえば、戦争がなくなり核兵器はもちろんのことあらゆる兵器が消滅し軍隊もない、そんな世界が実現できているだろうか。これは千年とかの単位ではなく10年以内に実現してほしい目標だが無理だろうから千年単位で考えてみる。実現は可能だし実現していると信じている。戦争は無駄だし、核兵器を始め人を死に至らしめ生活インフラを破壊するものはどう考えても人類全体にはマイナスだ。それゆえ、これからどれだけかかるかは分からないが、千年単位では戦争も戦争のための兵器も組織も存在しない世界が実現していると予想する。 次に、生産力が飛躍的に拡大し、格差が是正されることで、世界中全ての人々が公平に平和で豊かな生活が送れるようになる。そんな世界ができるだろうか。さらに一歩進んで、誰も働かないで、しかも全員豊かで平和という時代が来ることが期待できるだろうか。期待してよいと思うし実現すると信じる。戦争のない世界の実現はこの条件の実現と表裏一体になっている。このような豊かな平和な世界では戦争などを望む者は一人としていない。 それでは、殺人などの凶悪犯罪だけではなく万引き、覗きのような犯罪まで、あらゆる犯罪行為が消滅することはあるだろうか。これは正直難しく千年先でも実現していないと考える。人間の闘争本能や他人に対する憎悪、嫉妬心などが完全に克服される日が来るとは考え難い。恋人を巡る醜い争い、優秀者や成功者への嫉妬などは多分生物学的な根拠に基づくものであり完全に消え去ることは望みえない。それゆえ犯罪は大幅に減少してもなくなることはない。警察が不要になる日は来ないだろう。 科学技術・産業分野を考えてみよう。太陽系内のすべての惑星への有人飛行は実現しているだろうか。火星への有人飛行も依然として極めて難しい課題で、他の太陽系内惑星へのそれはなおさら難しい。それでも千年という期間を考えれば実現していると予想する。では、他の恒星への有人飛行はどうだろう。おそらく千年後は言うまでもなく永遠に不可能だと考える。最も近い恒星アルファケンタウリでも太陽系から4.3光年離れている。現代の技術では往復するのに10万年はかかる。もちろん技術進歩に期待することはできる。しかし、この半世紀、ロケットの速度は大して上がっていない。原子力ロケットなど現存のエンジン技術を超えた新型のロケットエンジンの研究が進められているが、実現の見通しは立っていない。また実現できても、その速度は精々現在の10倍とかであり。アルファケンタウリまで往復するには1万年はかかる。要するに生きて帰ってくることはできない。様々な空想的なアイデアで光速の10%まで加速する方法が提案されているが、人間を乗船させるほどの大きさを持つ宇宙船では実現不可能だと予測されている。また光速の10%まで加速させることができたとしても、発射から10%の速度に達するまでには時間を要することやアルファケンタウリに接近するためには減速する必要があること、などからピークの速度が光速の10%に到達するとしても10年で行って帰ってくることはできない。中国のSF作家劉氏の世界的ベストセラー『三体』ではアルファケンタウリの惑星に暮らす人類を遥かに超える知能と科学技術力を有する異星人が地球を征服するために軍団を地球に送ることを決断するまでの地球側の出来事が丹念に描き出されている。この傑作SFでは地球に到達するまでには450年掛かるとされている。劉氏は元々技術者で科学の知識が豊富で、光速の10%まで加速できる宇宙船でも45年で地球に襲来できるわけではないことを理解している。しかし、この450年で到達するという目標を有人飛行船で実現することは技術的に不可能だと考える。また、450年で行くことができるとしても、人間の寿命を遥かに超えるため、地球で乗船した者たちは到着するまでに全員あの世に旅立つ。人類の寿命は恒星間旅行には余りにも短い。 さて、人間の寿命をいまの10倍あるいは100倍にすることはできるだろうか。ウルトラマンは2万歳だそうだが、もし2万年生きることができるのであれば、アルファケンタウリの惑星への有人飛行が現実味を帯びてくる。しかし、これも現実には不可能だ。老化のメカニズムの研究は急速に進歩しており、メカニズムのかなりの部分はすでに解明されている。メカニズムが完全に解明されれば、その知見に基づき老化を抑えることがある程度できるだろう。しかし、それでも150歳程度が限界だと思う。脳細胞は日々破壊され数が減っていく。脳細胞の一部は再生することがあるらしいが、減少する脳細胞数を賄うにはほど遠い。他の細胞でも寿命を制限するような要素が多数あり、すべてを制御することはできない。SFでは臓器や筋骨格を機械に置き換えるなどという話しがよく出てくるが、機械も故障するし摩耗もする。またどこまで置換が可能かも分からない。それゆえ、それに期待することはできない。いずれにしろ、人間の寿命を10倍とか100倍とかにすることはできないと考えておいた方がよい。それは千年以内にできないのではなく永遠にできない。 他にも、月や火星を地球と同じような環境に改変(テラフォーミング)し人類をそこに移住させるというアイデアがある。実現できれば素晴らしいが、現実には千年では実現できない。それではいつ実現できるかと聞かれたら分からないと答えるしかない。そもそもテラフォーミングの実現可能性は極めて低い。テラフォーミングは技術的に極めて困難で、経済的にも利益は少ない。環境を改変しても地球と全く同じという訳にはいかず、地球に住む方がずっとよいという状況に変わりはない。 地震予知や気象の制御(台風を消滅させるなど)も大きな夢の一つだが、現実には不可能だと思われる。すべての病気の治療法を見出すという目標も達成されることはなく、寧ろ新たに出現する病気への治療法の開発が必要となり永遠にいたちごっこが続く。ただし、自然災害の被害規模を現在とは比較にならないほど小さくすることは可能で、また現在は不治の病とされている多くの疾患が治療できるようになるだろう。 人類には様々な夢がある。ここで取り上げた例もそのほんの一部に過ぎない。だが、いずれにしても確実なことは、夢を実現するためには世界のすべての人が公平に平和と豊かさを享受できる環境を実現し、戦争を無くすことが不可欠だということだ。 了
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