![]() |
![]() |
![]() |
||||||||
|
暖かくなり熊出没の報道が増えてきた。負傷者も出ている。筆者が暮らす地域では近辺に熊が出没する可能性は極めて低いが、もし家の前の歩道や塀に熊がいたら、仰天して振える手でスマホを操作して警察か役所に捕獲を依頼する。捕獲後は山に離す訳にもいかず駆除することになろう。熊を駆除すると役所に苦情を入れる者がいるらしいが、人の命に代えられない。捕獲駆除は当然で非難されることではない。 一方で、やたらと熊を敵視するコメントがネットで目に付く。ドローンを使って上空から攻撃しろとか、九州に熊がいないように他の地域も大々的に駆除し熊の数を大幅に減らすべきだとかいう過激な意見が少なくない。熊は怖いが、こういう極端な意見には賛同できない。 環境省の資料によると令和7年度の熊による被害者は238人、うち死者が13人となっている。過去最高で看過できる数ではない。しかし、警察庁発表の令和7年の交通事故死者2547人、重傷者2万7563人と比較すると遥かに少ない。交通事故被害者の中には自責の案件もあるが多くは他責による。また、殺人による死者も減っているとはいえ300人近くいる。熊より人の方がずっと恐ろしい。昨年、熊の出没や被害がメディアで盛んに報じられたために、熊の危険性が誇張されているように思える。もちろん熊の被害は死傷事件だけではない。農作物や家畜への被害も大きく経済的にはこちらがより深刻な問題となっている。だが農林業の被害は熊より鹿の方が大きい。ところが鹿を駆除しろという声は少なく、結局死傷事故が熊を敵視する原因になっている。確かに、熊が頻繁に出没し日常生活に支障をきたしている地域では熊は最大の厄介者かもしれない。しかし、日本全体でみれば、手段を選ばず頭数の大幅削減をしろとか、絶滅させろなどという主張が正当化される状況ではない。 人と熊の関係を熊の側から見てみよう。環境省の資料によると、令和7年度の熊の捕獲数は14429頭となっており、その大半は駆除されている。つまり、熊に殺される人が13人に対して、人に殺される熊は1万4千頭を超えている。つまり熊にとっての人は、人にとっての熊よりも千倍危険だということになる。人の死者数ではなく被害者数で比べてみても、やはり人の方が60倍危険と言える。もし人類より遥かに優れた科学技術と倫理を有している異星人が地球を監視していたら、人が命を守るために熊を駆除すること自体は理解しても、殺害し過ぎと評価するに違いない。そして、その優れた科学技術力で熊(並びに他の生物たち)が人という最強の敵から身を守ることができるエリアを設けるかもしれない。 もちろん熊は怖い。私が熊に襲われ、助けるために熊を射殺したハンターがいたら心から感謝する。だが熊は人類の敵ではない。共存の道を探るべき地球の仲間なのだ。令和7年の年間死者数は約160万人、そのうち熊による死者は13人、熊を敵視する理由はない。 了
|