☆ AGIの時代 ☆


 AIの進歩は目覚ましく、汎用AI(AGI)の実現も近い。AGIが普及すると、ほとんどの知的作業がAGIにとって代わられる。4年前、大手通信事業者で4日近く全国の携帯が繋がりにくくなるという事故が起きた。事故原因の探索と復旧作業は人間の技術者が行ったが、前例のない事故だったために復旧までに時間を要した。事業者は復旧作業だけではなく利用者への周知・問い合わせ対応、販売代理店へのサポート、監督官庁や報道機関への通報などでてんてこ舞いになった。AGIが実現すれば、復旧時間を大幅に短縮でき、かつ利用者周知、販売代理店サポート、関係者への通報なども迅速かつ的確に行うことができるようになり、人員も大幅に減らすことができる。

 一方AIの進歩に比べてロボットの進歩は遅い。狭い厨房で顧客の好みに合わせた美味しい料理を作るロボットが実現するまでには、最低でも20年は掛かる。自宅から歩いて8分ほどのスーパーで夕食の素材を買ってくるロボットが実用化する日は現時点では見込みすら立たない。今のロボットは家を出てすぐに転倒したり、通行人や自転車と接触したりするポンコツでしかない。

 人間は現生人類をホモサピエンスと名付け知的能力にこそ人間の本質があると信じてきた。学校では勉強のできる子が運動能力の高い子や手先の器用な子よりも評価され有名大学に進学できる。だがAGIの実現が間近に迫った現在、人間の本質は知的能力ではなく身体能力にあることが明らかになってきている。知的能力は他の動物と比較して多くの点で劣る人間の身体能力を補完するために二次的に進化した。それゆえ優れたAGIが実現し普及すれば知的能力の必要性は薄れる。

 では、AGIが実現し普及したとき、何が起きるだろう。ホワイトカラーが消滅し、優秀なブルーカラーが高い収入を得るようになることは間違いない。学歴社会は崩壊し、運動能力の高い子、手先が器用な子、視力や聴力が優れた子など身体能力が高い子が評価されるようになる。勉強ができるだけの子はギフテッドと呼ばれるような特定領域で卓越した知的能力を発揮する子を除いて雑用係になる。

 筆者は、勉強はそこそこにできたが、運動は駄目、音楽も駄目、不器用で図画工作はまるで駄目、AGIの時代だったら劣等生と呼ばれ鬱々とした日々を過ごしていた。それを考えるとAIなど夢物語だった時代に生まれて本当によかったと思う。尤も、筆者のような子が鬱になるような教育システムは望ましくない。だから今から対策を考える必要がある。でも大丈夫、答えは簡単。人間に優劣をつける習慣を止めればよい。運動ができる子もできない子も個性の違い、勉強ができる子もできない子も個性の違い、みな違うがみな同じ。AGIを活用しながらみなが協力して生きていく世界を作る。そう考えることができればAGIの時代は素晴らしい世界になる。


(2026/2/15記)


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