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高市首相が衆院を解散した。前回の衆院選が一昨年10月だから、わずか1年4カ月で衆院選挙が行われることになる。これは如何にも早すぎる。 そもそも、これまで報道が衆院解散は首相の専権事項と当たり前のように報じてきたことに問題がある。憲法7条には天皇の国事行為として衆院の解散がある。天皇の国事行為は内閣の助言と承認の下に行われる。天皇は国政上の権能を持たないから、内閣から解散が求められると拒否はできない。だから、内閣に解散権があるとされる。解散権は内閣総理大臣ではなく内閣にあるが、国務大臣は総理大臣が任命し任意に罷免することができるから、総理が決断すれば反対する閣僚全てを罷免して自らが兼務することで閣議決定ができる。だから、総理大臣(以下、「首相」という)に解散権があると解釈されている。 しかし、憲法7条に記載される天皇の国事行為は形式的なものだから、この条項を基に内閣に解散権があるとは言えないという説もある。実際裁判になったことがあるが、最高裁は統治行為論の立場から憲法判断を回避した。その結果、なし崩し的に首相に解散権があるということになった。しかし解散が首相の専権事項だとすると、首相の私利私欲で解散が行われる恐れがある。つまり「今やれば勝てる」ときに、いつでも解散することができる。そしてそれを止められる者はいない。これはさすがに拙いのではないか。 歴代の首相も、そこは認識しており、国民の信を問うべき重要な案件がある場合に解散を行なってきた。三木武夫内閣や海部俊樹内閣のように、首相が解散を模索したが、閣僚や党の反対で断念したこともある。つまり以前は、衆院解散は実質的にも首相の専権事項ではなかった。 ところが、報道が自明の理であるかのように首相の専権事項と言うものだから、政治家も世論も首相が決断すればいつでも解散できるという風潮が生まれてしまった。今回の解散は自公連立政権から自維連立政権へと政権の枠組みが変わり、財政再建重視の財政政策から積極財政政策への転換という課題があるがゆえに解散の大義はある。しかし時期が適切ではない。通常国会を開催し自維連立政権の政策を明らかにし、早くとも国民生活に直結する予算案の成立後に解散をするべきだった。国民民主と参政が高市の政策の多くを支持している現状では、自民の議席を増やさなくても、高市が遣ろうとしている政策は実行できる。むしろ政策を策定・実行する中で、国民の判断を仰ぐのが筋だった。 石破前首相もそうだったが、高市首相が早期の解散を決断した背景には、解散=首相の専権事項という憲法上疑義がある解釈を自明の理であるかのように報じてきた報道の存在がある。その責任は大きい。報道はそのことを真摯に反省し国民に的確な情報を提供する義務がある。 了
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