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ネットでODA(政府開発援助)など海外援助を非難する書き込みを目にすることが増えている。「政治家は外遊のたびに金をばら撒き日本のために使わない。国民が物価高で苦しんでいるのに血税を外国に使うとは何事だ!」という類の書き込みだ。 途上国の経済開発と人々の生活改善の手助けをするのは先進国の責務で、ひいては世界の平和と繁栄に繋がる。こう言うと、途上国を援助しても支配者たちが略奪して貧しい者には回らないと主張する者がいる。だが、そういう見解は大体において根拠に乏しい思い込みに過ぎない。そういう国も中にはあるかもしれない。しかし経済開発や貧しい者たちの救済に使われている国の方が多い。また、資金援助だけではなく人を派遣することで支配層による略奪を避けることができる。富める者が貧しい者を助ける、この助け合いの精神が人間社会を安定的に維持する。 途上国の貧困層は、日本で生活保護を受けている者たちよりも少なくとも経済的にはもっと貧しい。衛生的な水を手に入れることが容易ではない地域がある。貧しさが原因で児童婚(18歳未満の結婚)が常態化している地域もある。日本はそれに比べればずっと恵まれている。海外援助を非難する書き込みを行う者は、スマホやパソコンを購入しネットの記事を読みコメントを書き込む金銭的時間的な余裕がある。途上国の貧困層にはそんな余裕などない。 ODAの7割は税金とは無関係な財政投融資特別会計で処理されている。また日本のODAは5割が有償で援助金の回収がなされている。もちろん海外援助を非難する者は財政投融資は日本人のために使えと言うだろう。しかし海外援助が税金の乱用ではないことは指摘しておく必要がある。 日本はバブル崩壊以来、経済が低迷している。だがそれでも日本は先進国で、資産のないシングルマザーや老々介護の家庭など一部の貧しい者たちを除けば、途上国の貧困層よりも遥かに恵まれた経済的環境にある。また社会保障も充実している。日本人はそのことを自覚する必要がある。 海外援助を非難する書き込みを行う者などごく一部に過ぎないと信じたい。だが、外国人が優遇され税金の多くが外国人のために使われているという誤情報に惑わされ、日本人ファーストに心を動かされる者たちが少なからず存在するという現実を目の当たりにすると、楽観はできないと考えざるを得ない。ネットで調べれば、国連機関(ユニセフ、UNHCR、WFPなど)や国境なき医師団などのHPで途上国の人々、戦争やテロで苦しんでいる人々の窮状を伝える情報を容易に目にすることができる。海外援助を非難する前に、そういう人々の苦難に思いを寄せてもらいたい。 了
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