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子どもの頃、夏のレジャーと言えば海水浴が定番だった。夏休みが始まると、子どもたちは挙って海水浴に行きたいと親にせがんだ。60年代以降も海水浴客は増え続け85年には3790万人に達した。海水浴場の砂浜は芋を洗うように人で溢れ、道路は大渋滞した。映画やテレビには海水浴シーンが頻繁に登場した。しかし、85年をピークに海水浴客は減り続け、近年は500万人を切っている。おおよそピーク時の8分の1に減った勘定になる。 すぐに思い当たる原因は少子高齢化だ。40年代後半の第一次ベビーブームでは出生数は270万人に迫っていた。その後、出生数は減少し200万人を切ったが、第二次ベビーブームの70年代前半に再び200万人台を回復した。だが、その後、出生数は減少を続け昨年は70万人を下回った。海水浴好きは子どもと20代、30代の若者で、高齢者が海水浴に行くことは、子や孫と一緒のときを除くと滅多にない。少子高齢化で若年層が減り高齢者が増えたのだから海水浴客が減るのは当たり前のことでもある。しかし、それにしても減り方が激しく少子高齢化だけでは説明が付かない。若年層が減少しているのは事実だが、ピーク時の8分の1までは減っていない。 他の原因を考えると色々と思い当たることがある。80年代半ばに、紫外線が皮膚がんの原因になることが広く認知されるようになる。同時期、冷蔵庫などの冷媒として使用されていたフロンが紫外線を遮蔽するオゾン層を破壊することが発見された。その発見に基づきフロンの使用を禁止するモントリオール議定書が87年に採択、89年に発効し、現在ではオゾン層を破壊しない代替フロンが冷媒に使われている。子どもの頃は紫外線を浴びるとビタミンDができ風邪をひかないと言われ、子どもたちは競って日に当たった。夏休み明けには子どもたちは日焼けを競い合い、友達の日焼けして剥がれかけた皮を剥で遊んだ。だが、80年代半ば、紫外線がビタミンDを増やし免疫機能を高めるのは事実だが、過度の日焼けはメリットよりもデメリットが大きいことが判明した。それが海水浴客を減らす原因の一つだったと思う。それは85年が海水浴客のピークという事実とも辻褄が合う。 80年代までは、小麦色に日焼けした肌の女性は健康的で魅力的だとされていた。60年代後半人気を博した前田美波里さん、70年代後半に筆者を含めて若者たちを熱狂させたアグネス・ラムさん、などが思い浮かぶ。早逝した夏目雅子さんもデビュー当時爽やかなクッキーフェイスと日焼けしたしなやかな肢体で人々を魅了していた。それが21世紀に入ると、韓流ドラマ(主役は透明感溢れる色白の美人女優さんが多い)の影響もあり美白を好む女性が増えた。近年は男性も美白を望む者が増えている。それも海水浴客を減らした原因の一つだと思う。 他にもレジャーの多様化などいろいろな要因があるだろう。しかし、海水浴にたくさんの楽しい思い出を持つ者として海水浴が廃れるのは寂しい。海水浴は子どもや若者にとってその若さを最大限に発揮できる場であり、友人や恋人と誰に憚ることもなく触れ合い語り合うことができる場でもある。皮膚がんやシミの原因になるとは言え、男女を問わず子どもや若者が海水浴の魅力を再発見し砂浜に戻ってくることを願っている。 了
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