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嫌いな動物としてよく挙げられるのがヘビとゴキブリだ。「蛇蝎の如く嫌われる」という表現があるくらいでヘビは皆から嫌われている。嫌な奴を「ゴキブリ野郎」などと罵ることがあり、こちらも多くの者から嫌われている。この二つは日本に限らず万国共通で嫌われているらしい。ヘビもゴキブリも別に人間に嫌がらせをしている訳ではない。勝手に人間の方が嫌っているのだから、ご両者には誠に気の毒と言うしかない。不運にも現在の地球で事実上の支配権を握る人間に不快感を与える何かを持ち合わせたばかりに不当な扱いを受けている。 ヘビとゴキブリ以外にも、蚊、蠅、蜘蛛なども嫌われることが多い。蚊は刺されると痒くて堪らないし、(ごく一部だが)病原菌を運ぶ種や個体もいる。間接的だが世界で一番人を殺している動物は蚊だという説もある。蠅は腐肉に集るので気味が悪く病原菌を運ぶことがある。蜘蛛はほとんど悪さをしないし、愛好する者もいるが、蜘蛛の巣で餌となる昆虫を絡めとる生活スタイルが不気味さを感じさせるのだろう。 意外なのが、カエルを嫌う者が多いことだ。先日もヘビに続いてトカゲ、カエルが嫌いという嫌いな動物ランキングをネットで目にした。カエルが嫌いな理由は分からない。70年近く東京の郊外で暮らしているが、子どもの頃はカエルはごく身近な動物で夏場には庭にアマガエルやアオガエルがたくさん集まってきて、その姿を眺め手に乗せ遊んだものだった。家の中に迷い込んだカエルを庭に逃がしてやるのが日課になっていた時期もあった。10センチ近いガマガエルが軒下に暮らし家族の一員のような存在だったこともある。しかし、近年日本を含め世界で両生類が激減しておりカエルの仲間の多くが絶滅の危機に瀕している。トカゲやヤモリは庭や家屋の壁などでよく見かけるがカエルはとんと目にすることがない。世界には毒をもつカエルもいるがごく一部で、庭に集まってきていたカエルは無害で悪さもしない。ビジュアルだって悪くない。ぴょんぴょんと跳ねる姿はなかなか可愛い。そもそも日本では昔からカエルは縁起物として重宝されてきた。70年代、漫画『ど根性ガエル』のカエル「ぴょん吉」は人気者だった。カエルを嫌いだという者が多くなったのはカエルを目にする機会が減ったからだと思われる。人は知らない者を警戒する。 カエルが激減している理由は感染症、生息域の破壊、温暖化の三つだと言われる。日本では生息域の破壊が主要因で、生息域の保全が欠かせない。しかし都心や都心に近い地域ではもはや手遅れだろう。庭にカエルたちが遊びに来る日が戻ることはないと思うと寂しい。カエルを嫌う者はカエルなどいなくてよいと言うかもしれないが、カエルは生態系にとって欠かせない存在だ。カエルは昆虫などを捕食し、植物が害虫に食い荒らされることを防いでいる。また鳥や小動物の餌となることでこれらの動物の生存と種の保存を支えている。都会で暮らす子どもたちにカエルと直に接する機会を与え保護の意識を育んで欲しい。因みにヘビ、ゴキブリ、蚊、蠅、蜘蛛、トカゲなども生態系の維持に欠かせない存在で、病原体を運ぶ種の駆除はやむを得ないが、やたらと殺すことは止め家に入らないように工夫すべきだと思う。 了
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