☆ 夏至 ☆


 昨日6月21日は夏至だった。一年で昼間が一番長い日。尤も東京は雨で昼間の長さを感じることはなかった。因みに昼間の時間が一番長いのは夏至だが、日没が一番遅い日は1週間後で、日の出が一番早い日はすでに一週間前に過ぎている。

 私たちは夏至や冬至のことをあまり気に掛けない。日食、月食のようなイベント性がない上に、暑さ、寒さのピークが夏至、冬至よりも1カ月ずれていることがその理由だろう。私たちは昼間の長さよりも、暑さと寒さに敏感だ。それに夏至は梅雨の時期と重なり薄暗い日が多く昼間の長さを実感する機会が乏しい。これもまた夏至に関心が薄くなる理由の一つと言ってよい。

 しかしながら、夏至は自然の仕組みを考えるうえでとてもよい題材だと思う。夏至や冬至があるのはなぜか。一年で一番昼間が長いのになぜ一番暑い日は1か月後になるのか。梅雨と夏至が同じ時期に重なることには理由があるのか、それとも偶然に過ぎないのか。夏至、日の出が一番早い日、日没が一番遅い日がそれぞれ違うのはなぜか。たいていの者は最初の二つにはおおよそ正しい答えを出すことができる。しかし正確な説明ができる者は案外少ない。実際、子どもに尋ねられて困っている親は少なくない。さらに三番目と四番目の問いになると、即座に正解できる者は勉強熱心な学生や専門家以外はほとんどいない。筆者もできない。いずれにしろ、こういった問題を考えることは頭の体操になるし、子どもたちに理科への興味を持たせることにも繋がる。

 日本を含めて先進国では若者の理科離れが深刻化している。理科離れの理由は様々だが、学校の理科や数学が無味乾燥で詰まらないということが理由の一つであることは間違いない。筆者は比較的算数・数学と理科が得意だったのでさほど苦痛ではなかったが、両科目に苦手意識を持つ子は多かった。理科や数学が無味乾燥に感じるのは子どもたちの日々の体験と結びついていないからだ。この状況を改善するには夏至のような身近な話題を題材にして考える習慣を付けることが大切だと思う。家族で「今日は夏至だよ」、「夏至はなぜ起きるの」こんな会話をしたらどうだろう。子どもだけではなく大人の勉強にもなる。


(2024/6/22記)


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