日本を代表するスター、千葉真一氏(82歳)が8月19日お亡くなりになった。心からご冥福をお祈りします。 筆者が初めて千葉氏を観たのは、母親に連れて行ってもらった映画『黄金バット』(1966年)だった。千葉氏は主演のヤマトネ博士を演じておられた。ただ、主演と言っても、あくまで映画の主人公は黄金バットと敵役の怪人ナゾーであり、氏の存在は余り記憶に残っていない。むしろ、可愛い高見エミリーに多感な小学生時代の筆者は目を奪われていた。実を言うと、後年テレビで再放送されたときに、初めてヤマトネ博士役が千葉真一氏であることに気が付いたのだった。 氏が国民的スターになったのは、テレビドラマ『キイハンター』(1968〜73年)。丹波哲郎演じる黒木キャップの下、6人のプロフェショナルが悪と戦うアクションドラマで大人気を博し、千葉氏は日本を代表するアクションスターの地位を確立した。 その後、千葉氏は多数の国内外の映画、ドラマに主演するとともに、ジャパン・アクション・クラブ(通称JAC、現ジャパンアクションエンタープライズ)を設立して、真田広之、志穂美悦子など後進の育成に努め、また日本のアクション映画の質を上げるのに貢献した。千葉氏は単なるアクションスターではなく、偉大なる日本映画界のプロデューサーでもあった。そして、多くの人に夢を与え慕われた。 数多い出演作の中でも、筆者が特に記憶に残っているのが、萬屋錦之介とダブル主演で柳生十兵衛を演じた映画『柳生一族の陰謀』(1978)だ。同作で、千葉氏は、戦後を代表する大スターの一人、萬屋錦之介に一歩も引けを取らない演技を見せた。それ以降、「柳生十兵衛といえば千葉真一」という公式が成立した。また、沢田研二とのW主演『魔界転生』(1981)でも柳生十兵衛を演じている。どちらもその豪快な殺陣は今でも鮮明に記憶に残っている。CSなどで再三再四再放映されているが、今でも古くなっていない。 それにしても、月日が経つのは早い。『黄金バット』を観たのは筆者が11歳の時、『柳生一族の陰謀』は23歳の時で社会にでる前年だった。時は過ぎ、筆者も今では66歳。そして千葉真一氏は旅立たれた。つくづくこの世の無常が感じられる。 了
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