今日はエイプリルフール、どんな嘘を吐こうか。こんなのはどうだろう。地球近傍の恒星で超新星爆発が起きた。5年後には、膨大な量の超強力な宇宙線が地球を襲い、地底や深海に暮らす微生物を除いて、人類を含めた地上の生命体は絶滅する。こんなことを言ったら、新型コロナが大流行している今、不謹慎だとお叱りを受けるかもしれない。しかし、さすがに5年後ということはありえないにしても、千年以内に超新星爆発の影響で人類が絶滅することはありえる。 もし、これが嘘ではなく本当だとしたら、人類に何が起きるだろう。戦争やテロは一切無意味になる。勝って相手の領土を制圧しても5年後には滅びることに変わりはない。人々は宿命を認め、残された日々を平和で互いに助け合って暮らすことを決意する。こうなれば素晴らしい。人類は悪いことをたくさんしてきたが、最後はまっとうな存在になり穏やかな死を迎えた。地球を密かに監視している宇宙人がいたら、そう記すだろう。 しかしながら、そうはならないような気がする。まず、それは嘘だと皆で否定しようとする。その根拠を疑い、それを論駁しようとする。それが避けえぬ運命だと分かった時どうなるだろう。怪しげなワープ装置や地底や海底で暮らせる設備を売りつける詐欺師が多数現れる。また、地球温暖化などどうでもよいことになるから、人々は最後の享楽を求めて、大量消費をしようとする。だが、多くの者にとって、もはや働くことも、事業を行うことも意味がなくなるから、働く者は限られる。ただ最後の日まで人々のために働くことが自分の使命だと考える者だけが黙々と働く。しかし、それはごく少数で、多くの者は自棄になり、生産は滞り、みな欲しいものが手に入らず争いが起きる。戦争やテロがなくなるどころか、むしろ増える。もしかすると、5年を待つことなく、人類は他の生物に先立ち絶滅するかもしれない。地球を監視している宇宙人は記す。やはり人類は最低だったと。 どちらが現実だろう。もし最初のシナリオが成り立つようなら、人類は捨てたものではなく、地球温暖化など環境問題、戦争、テロ、貧困などの様々な課題を解決することができる。だが、2番目のシナリオが成り立つならば、人類と地球の未来は暗い。どうも、後者のような気がするが、そうでないことを祈る。 了
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