☆ 電気自動車 ☆


 脱炭素社会実現に向けて、電気自動車の開発に弾みがついている。列車は電気、自動車はガソリンという時代が長く続いてきたが、どうやら自動車も電気で動く時代になったようだ。ちなみに航空機はどうかというと、電池の重量の問題で電気航空機は実現が難しいらしい。

 電気自動車にすべて置き換わると、当然のことながら、ガソリンスタンドは不要となる。とは言え、全ての道路に電力線を設置する訳にはいかず、充電所が不可欠になる。太陽光を使うというアイデアもあるが、自動車くらいの馬力になると太陽光だけではエネルギーがたりない。電池の性能は上がっているが、1週間走り続けるなどということは到底不可能で、定期的に充電が必要になる。要するに、色々な場所に充電所を設ける必要があるのだが、それがどのような形態になるのかはまだ分からない。ただ、ガソリン車と電気自動車が併存する時期があることを考えると、ガソリンスタンドが、ガソリンと電気の両方を供給し、いずれは専用の充電所になるというシナリオが一番現実的だろう。

 10年前は、電気自動車は速度でガソリン車に劣ると言われていた。しかし、今では、ガソリン車と同等の速度を出すことができる。それゆえ、充電の問題が解決すれば、電気自動車はガソリン車を駆逐することができる。世界の自動車産業が電気自動車の開発に力を入れるのは当然といえる。いまは世界トップクラスのトヨタでも、電気自動車で後れを取れば、その地位を失い経営が成り立たなくなる事態も想定されうる。トヨタがアップルに買収され傘下に入るなどということが起きるかもしれない。まさに、自動車産業は未来に向け勝負の時代に差し掛かっている。

 ガソリンから電気に代わることで、工場は大きく変わる。工程が簡素化され、労働者の数は大きく減ると予想されており、雇用の問題が生じる。自動車工場で働く労働者は多く、電気自動車の普及が雇用の不安定化、流動化に繋がる可能性がある。各国政府が雇用対策に頭を悩ませる事態も想定される。

 電気自動車の開発と普及は確実に進む。同時に、自動運転自動車も遠くない将来、たとえば10年以内に実用化され普及が進むことが予想される。自動運転の電気自動車が世界中の道路を占有する時代はさほど遠くない。排気ガスが無く、何もしないでもAIがこちらの意のままに安全に運転してくれる自動車は夢の存在だったが、それが現実になろうとしている。いずれカーレーサーや運転が趣味の者以外は運転免許が不要となる。高齢者も安心して自家用車を持ち利用することができる。だが、何事にもメリットとデメリットがある。自動運転電気自動車にどのような問題があるかを整理して、いまから対策を考える必要がある。


(2021/2/13記)


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