☆ レジがなくなる? ☆


 アマゾンが始めた無人コンビニが話題を集めている。いずれ、コンビニ、ショップ、スーパー、デパートすべてでレジがなくなる日が来るのかもしれない。因みに中国ではすでに多数の無人店舗があると報じられている。

 レジで待たされ苦労したことがないと言う者はいないだろう。とくに買い物が多いときは、客が列をなしたレジでの待ち時間の苦痛は半端ではない。後ろにたくさんの客が待っているというのに、知らん顔で呑気に財布の中から小銭を探して時間をとっている客がいると、ついつい苛々してしまう。逆に、筆者のような小心者は、小銭が財布にあるのが分かっていても、後ろの客に睨まれるのが怖くて、お札かカードで支払いを済ませてしまう。無人店舗ならばこういう苦労はなくなる。

 では、無人店舗は万々歳かと言うと、そうでもない。行きつけた店だと、顔なじみのレジの店員とあいさつを交わすのが楽しみになる。客が少ないときには世間話をすることもある。言葉を交わさなくても、「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」と声を掛けられただけで心が安らぐ。それが接客マニアル通りの対応に過ぎないと分かっていてもだ。特に世間との関わりが薄れる高齢者には、その有難味は大きい。ところが無人店舗ではこのささやかな楽しみが失われてしまう。ロボットに同じことを言われても面白くも何ともない。

 コンビニだけではなく、飲食店などでも人手不足の所為か店員は少ない。そのため、店員とちょっと世間話をするなどという機会がめっきり減った。店員と世間話をすることができる店は客が少なく、すぐに閉店してしまう。そのうち飲食店でも無人化が進み、ロボットが注文の品を届けるようになるのだろう。そうなると、一人で店に入った者は、「ありがとうございます」のアナウンスをBGMにして、ただ黙々と食べて飲むしかない。それは無人自動車がガソリン補給をするに等しい。

 やはり店にはレジがあり、そこに人がいて欲しい。ほんの一言、二言が元気の源になる。レジはそういう場所なのだ。技術革新や経済効率ばかりでは心が寒くなる。


(H30/1/28記)


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