☆ 消費税の端数 ☆


 消費税は1円未満の端数が生じることがある。120円の商品を買うと消費税は9.6円。0.6円を切り捨てるか、切り上げるか、四捨五入するかは売れ手に任されている。切り捨てると129円になる。ところが、2個買うと240円で消費税が19.2円、切捨てで259円となる。つまり1個ずつ2回に分けて買うと258円、1回に2個買うと259円、まとめて買う方が高くつく。これはおかしくないだろうか。

 「細かいことを言う奴だ。2回に分けるのは面倒だから1円くらい損しても2個必要ならば1度に2個買う。」と多く者は答える。しかし、100個買うとしたらどうだろう。纏めて買うと12,960円、100回に分けると12,900円、60円も違う。1万個買うと6,000円も違う。やはり合点がいかない。さらに、同じ商品を纏めて買う場合を例に取ったが、スーパーなどで多種類の商品を買った場合も同じことが当て嵌まり、まとめてレジすると高くつく。大型書店では売場が複数階に分かれていることが多いが、各階にレジがある場合は、階ごとに清算をした方が纏めて清算するより安くなる。

 これが、端数を切り上げて消費税を徴収する店だと逆になる。纏めて買うと安くなる。四捨五入する店だと商品の値段により安くなったり高くなったりする。いずれにしろ、合理的とは言えない。

 消費税は店が税務署に納税するから、店の売上は消費税をどう処理しようと変わりはない。だから店は一番楽な方法を取る。だが、消費税は私たち消費者の懐から出ているのだから、消費者が納得できる遣り方で徴収するのが筋だろう。ところがそうなっていない。

 消費税額を、購入価格の総額に消費税率を掛けて計算するから、こういう不合理が生じる。先に個々の商品の消費税額を計算して、それを合算すれば、このような不合理は無くなる。今では、消費税額の計算はほとんどコンピュータがしているから、手間はほとんど変わらない。だから行政当局は店に計算方法を変えるように指導するべきではないだろか。

 こう主張したら反論された。今でも電卓を叩いて請求総額を計算している小さな店もある。そういう店では個々の商品の消費税を計算する手間は馬鹿にならないし間違いも増える。さらに、頭の良い親戚には次の指摘を受けた。「100グラム120円で売っている肉を150グラム買うときにどう考えるのか。100グラム分の消費税と50グラム分の消費税を分けて計算して最後に合算するのか。寧ろ、150グラムの(消費税抜きの)価格を先に計算してその後に税率を掛ける方が合理的だ。」

 このように周囲に遣りこめられて新方式の提案を撤回するに至ったのだが、ふと気が付いた。要するに外税方式だからこういう不合理が生じる。内税方式にすればこういう不合理は生じない。確かに外税方式は税金の額がはっきりするというメリットはある。しかし税込価格が表示されていないことが多く、レジに行くまで支払額が分からないことが多いという難点がある。そもそも外税方式は消費税増税の際にインフレ率2%を達成するために政府の指導で広がった。インフレ率2%の達成が困難になってきた現在、外税方式に拘る必要はない。だから端数計算の不合理を解消するためにも、内税方式に変更することが望ましい。尤も、親戚が指摘した150グラムの肉の場合には内税方式は不合理だということになりそうだ。この点は将来の課題とすることにしたい。


(H29/8/12記)


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