☆ 選手が育たない ☆


 ヤクルトスワローズのチーム状態が悪い。交流戦に入って一回も勝っていない(6月10日現在)。このまま交流戦全敗もありえる。父親の影響もあり、半世紀前、国鉄スワローズの時代からのファンだが、未だかつてないほど弱い。

 スワローズ史上、最弱は70年。勝率僅か2割6分4厘(33勝92敗5引分け)、並みのバッターの打率よりも低いと巨人ファンの友人に嘲笑されたことを覚えている。シーズン途中には、当時の最多連敗記録、16連敗を喫している。この記録は後にロッテに破られたが、ロッテの18連敗には引分けが一つあり、引分けのない連敗では依然としてスワローズの16連敗が一位の座を守っている(こんな記録を「守っている」と言えるのか疑問だが)。そして、今のスワローズは当時と同じくらいかそれ以上に弱い。

 とにかく、選手が育たない。ここ5年間で、出てきた選手は山田哲人しかいない。その山田も今年は絶不調で、トリプルスリーどころか、トリプルワン(打率1割台、本塁打、盗塁1桁)に終わりかねない(さすがにそれはないと思うが)。小川が怪我で離脱し、投手陣は、今年38歳になる石川に未だに頼っている。これでは勝てる訳がない。

 巨人が育成に失敗していると批判されているが、一番失敗しているのは残念ながら我がスワローズと言わなくてはならない。巨人のような人気球団ではないから批判されないだけで、全く育成が進んでいない。昨年、一昨年と、イースタンリーグでぶっちぎりの最下位だったことがそれを裏付ける。パリーグから放出された選手で遣り繰りしているのも、同じことを象徴している。

 なぜ、そうなってしまったのだろうか。90年代、野村監督の下、4回のリーグ制覇、3回の日本一、01年には若松監督の下で、日本一に輝いたころは、よい選手がたくさん育った。広沢、池山、古田、宮本、(ヤクルトと言うより日ハムだが)稲葉、岩村、青木、石井一久、高津、五十嵐など球界を代表する選手を多数輩出した。どこが今と違うのか。

 ここ5年ほどのドラフトを見ていると、首を傾げざるを得ない選択をしている。また、補強すべきポイントが補強できていない。確かにアマチュア時代の成績は当てにならず、ドラフトの選択が難しいのは分かる。広島も長く低迷していた時期がある。しかし、それにしてもはずれが多すぎる。スカウトの力量に疑問がもたれても致し方あるまい。

 これだけ選手が育たないと、監督コーチの手腕にも疑問が付く。素人の勝手な感想に過ぎないが、選手を育てられる人材をコーチに選任しているとは思えない。顔ぶれを見ても選手からそのままコーチに転身した者が多く、コーチとして訓練されていない。毎年、ヤ戦病院と揶揄されるほど怪我人が続出することも監督コーチの責任と言わなくてはならない。

 とにかく、ドラフトでの賢明な選択、監督コーチのスキルアップ、この二つを実現しないと、上昇気流に乗ることはできない。今のままでは、少なくとも5、6年間は最下位に沈む。神宮球場は地の利がよく、弱くても相手チームのファンで球場は埋まる。それに胡坐をかいて強化を怠っていないだろうか。れっきとしたスワローズファンもたくさんいる。そのファンのためにも、選手育成に力を注ぎ、上を目指していってもらいたい。


(H29/6/11記)


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