☆ ラグビー人気は続くか ☆


 ワールドカップでの日本代表の大活躍で、国内でのラグビー人気は高まっている。ここ数年、観客が疎らだったトップリーグの試合でも、開幕戦ということもあったが、各試合会場には多数の観客が集まっている。2019年には日本でラグビーワールドカップが開催される。日本でのラグビーワールドカップが成功を収めるためにも、この人気が維持され、さらに発展することが期待される。

 しかし、果たしてラグビー人気は続くだろうか。心許ないと言わなくてはならない。まず今のラグビー人気は、五郎丸人気に頼るところが大きい。無理もない。ワールドカップでの大活躍は勿論のこと、イケメン、高身長、スポーツマンらしい爽やかさ、格好いい髪型、キックの際の独特のポーズ、人気がでる要素が揃っている。引退したらテレビ局から引っ張りだこになるだろう。

 五郎丸歩、早稲田時代から卓越した才能を評価されたラグビー界のエリートで日本代表入りも早かったが、一時期伸び悩み、才能が開花したのは意外と遅く、エディーヘッドコーチが就任してからだ。早稲田時代の同期、プロップの畠山健介は4年前のワールドカップの時からの日本代表だが、五郎丸は今回のワールドカップが初のワールドカップ代表入りだ。そのため、年齢的には来年3月には30に達する。ラグビーは真正面から身体がぶつかり合う非常にハードなスポーツで、選手寿命は野球と比べると遥かに短い。今回の日本代表には、37歳の大野均が入っているが、30代後半まで代表を務めることは珍しく、大半が30代前半で退く。つまり、次回の日本大会には五郎丸はいない可能性がある。ラグビーの試合においてペナルティキック、ゴールキックの成功率は勝敗に直結する。キックの精度が落ちてきたら代表には留まれない。田中やリーチマイケルなど五郎丸以外にも人気がある選手はいるが、いずれも五郎丸同様次の大会は30を超え日本代表に留まっている保証はない。

 ワールドカップの興奮が冷め、五郎丸など人気選手が代表から引退しても、なおラグビーは人気を維持することができるだろうか。簡単ではない。ラグビーはルールが複雑で初観戦の者には簡単には理解できない。また、身体がぶつかり合うスポーツだから危険も多く、素人には自らがラグビーを遣って楽しむことはできない。だから熱が冷めればすぐに人気が下落する可能性は高い。

 人気を維持するには、日本代表がより強くなるしかない。南アフリカに勝っても、世界から驚きだと言われないようになる必要がある。そしてそれは不可能ではない。ワールドカップが初めて開催された87年当時、アルゼンチン代表はベスト4にはほど遠く予選落ちが普通のチームだった。だが、今では予選突破の常連で、今大会でもベスト4に残っている。日本も躍進することは不可能ではない。だがそのためには有力選手が海外に進出し、国内各チームが海外で試合する機会を増やす必要がある。幸いなことに4年後にワールドカップが開催されることもあり、国内の期待は高まり国際交流の機会を増やす絶好の時期にある。世界のラグビーを知り、日本代表がより強くなることを期待したい。


(H27/11/14記)


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