日本記録達成、おめでとう、バレンティン。それにしても、ドキドキ、ハラハラのしどうしだった。何が?だって、天気のことだ。15日日曜日、神宮球場開催の阪神戦1回裏、バレンティンは56号を放った。日本記録だ。すぐにツイッターで情報が流れる。球場には行けなかったがリアルタイムで情報入手。だが日が暮れた空には黒い雲が漂い、台風が近づいていることを告げている。5回までに雨天中止になれば記録は消えてしまう。 だが、天が味方をしてくれた。降雨による中断もなく、9回まで試合は滞りなく進み、ヤクルトスワローズ勝利。バレンティンはさらに1本追加して57号と記録を伸ばし、新人小川は阪神戦初勝利を完封で飾った。ヤクルトスワローズファンには万々歳の一日、今年一番の一日だった。阪神ファンも共に喜んでくれたし、逃げることなく勝負した榎田投手も称賛に値する。 一昨年、来日したバレンティンは調子が良いときは固め打ちするが、調子が落ちると全く打てなくなる。本塁打王を獲得したものの、頼れる主砲とは言い難い選手だった。打率も2割5分を割った。昨年も2年連続で本塁打王に輝いたものの、怪我で欠場することが多く打率2割7分、打点81に終わった。ファンとして必ずしも納得いく成績ではなかった。 しかし今年は一変した。ボール球を見極められるようになり打撃が安定し打率が急上昇。開幕早々、WBCでの怪我が原因で11試合欠場したが、復帰すると本塁打を量産することになる。正に頼れる4番、主砲となってくれた。宮本に怠慢プレイを叱られることもあるが、力任せではなく、各チームのバッテリーの配球を研究し、自らの技術を磨いた結果が日本記録に繋がった。努力が結果に結びついたと言ってよい。 今年のヤクルトスワローズは散々だった。館山の怪我もあり先発投手陣は文字通り総崩れ。中継ぎ、抑えも不振。打線もミレッジが怪我で離脱してからはバレンティン一人だけという有様だった。バレンティンと新人投手の小川が期待以上の活躍をして何とか面目を保ったが、二人が不振だったら、最下位はおろか、100敗を超えプロ野球史上、最低勝率に終わったに違いない。それをバレンティン、そして記録に花を添えた小川、この二人が救ってくれた。最下位確実のヤクルトスワローズだが、ファンとすれば、それなりに楽しめたシーズンだった。 そうは言っても最下位はやはり寂しい。宮本も今年で引退する。来年はぜひ投打を立て直し、優勝争いに加わってほしい。そしてバレンティンには、より一層精進して自己の記録を塗り替えることを期待したい。 了
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