☆ 祝、稲葉2千本安打達成 ☆


 4月28日、日本ハムの稲葉が2千本安打を達成した。おめでとう。

 スワローズファンとしては、スワローズに在籍して同期の宮本と一緒に達成して欲しかったが、贅沢は言わない。いまや稲葉は北海道日本ハムファイターズの顔なのだから。

 2004年のシーズン終了後、FA宣言した稲葉は翌年2月、日ハムに移籍する。これは必ずしも本意ではなかったはずだ。慰留されることを期したが、FAの選手は引き止めないという球団の方針で移籍が確定、大リーグ移籍を模索したがオファーはなく、稲葉獲得に強い意欲を示した日ハムに移籍することになる。

 しかし稲葉にとって日ハム移籍は飛躍の転機になる。2001年のヤクルトスワローズ日本一のシーズン、稲葉は25本塁打に3割を超える打率を残し優勝に大きく貢献した。しかし、それでも稲葉は脇役だった。日本一の立役者は日本シリーズMVPの「古田」、セリーグMVPの「ペタジーニ」、守備の要「宮本」、エースの「石井和久」、抑えの「高津」であり、「稲葉」の影は薄かった。その後は怪我もあり、思うような成績が残せずFAの年こそ本塁打18本を放ったが、ファンの目からもこれ以上の成績を期待することは無理だと思われた。

 だが、稲葉は札幌のファンの温かい声援をバックに見事に復活、一段と成長する。移籍1年目こそ2割7分に終わったが、2年目の2006年から4年連続3割をマーク。2007年には首位打者を獲得、日ハムのリーグ制覇(2006年は日本一)に貢献し、日本を代表する野手となる。北京五輪、第2回WBCにも選抜され、WBCでは4番を打ち2大会連続の世界一に大きく貢献する。

 そして、プロ18年目の今年、シーズン開幕から絶好調で首位を行くチームを引っ張り、同期の宮本に先立ち2千本安打を達成した。

 地味な努力家、それが稲葉だ。法政大学でも、ヤクルトスワローズでも脚光を浴びることは少なかった。本人もそれを自覚し、「自分が一番下手だと思ってやっている」と口にする。内角球の捌き方は天下一品、決して凡庸な選手ではないが、この謙虚こそが、いく度もの怪我を乗り越え2千本安打を達成した秘訣だろう。2千本安打達成は39人目だが、天才打者が揃う中で、稲葉のようなタイプは珍しい。それだけに逆に稲葉の2千本安打は価値がある。コツコツと努力をしていけば、たとえ天才ではなくとも、首位打者になり、チームの日本一に貢献し、日本を代表する選手になり、その積み重ねとして2千本安打を達成することができる。稲葉はそれを皆に示した。これはプロに憧れる多くの野球少年たちに夢と希望を与えるだろう。

 今年40を迎える稲葉だがまだまだ遣れる。投手と野手の違いはあるが、中日山本投手を目標に40台半ば過ぎまで現役を務めることを期待したい。


(H24/4/29記)


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