☆ 年の瀬 ☆


 もう一年が過ぎた。そんな感じがする。恒例の忘年会も一通り終わり、後は部屋の片づけ(碌に片付いた試しが無いのだが)と遅ればせながらの年賀状書きが残っているだけだ。こんな調子で過ごしたら、あっという間に天に召されることになってしまう。天に召されるのであれば良いが地獄に落とされるとしたら大変だ。いずれにしろ月日の経つのがやたらと速い。地獄を逃れるためには善行を積まないと駄目だが、早くしないと間に合わない。などと漠然と考えながら、また性懲りもなくくだらないことばかり遣っている。

 土曜日に新宿で忘年会を開いたが依然として景気が悪い。土曜日でも、このシーズンは開いている店がたくさんあったが、今年は少ない。例年使う店を予約しようとしたら「大変申し訳ありませんが、10月から暫くの間、土曜は休業しております。」と断られてしまった。土曜日に開店してもペイしないのだろう。いつもの店が開いてないと分かると、こちらも気勢を削がれて景気が悪くなる。例年、2次会、3次会と、このときばかりはと(大した額ではないが)お金をはたいたものだが、こうなると1次会で粘れるだけ粘ってお開きとなる。こうしてデフレが進行する。

 先行き不安だから消費を控えて貯蓄する。企業は経費削減に努める。合理的な行動だが、全体ではデフレという不合理を生み出している。問題解決は容易ではない。ある意味、破綻状態まで至っていないから余計抜本策が取れない。赤字国債の引き受け手は国内だから大丈夫だとか言っているが、いつまで持つのやら。かと言って消費税増税など遣られた日には低所得者や資産に乏しい高齢の年金生活者は堪ったものではない。かと言って増税を避けていては財政が破綻する。今の日本は袋小路に陥っている。悪いことにそれに輪を掛けて政局が混迷の度を深めているから始末に悪い。

 だがぼやいてばかりいても何も生まれない。市民一人一人が、何ができるか考える必要がある。政治家や官僚や経営者の悪口を言っているだけなら誰でもできる。そうではなく建設的な意見を述べ、協力してそれを実現するために行動を起こす時だ。お上に頼るのではなく自分たちで出来ることは自分たちでするという気概がないと大きな政府にしろ小さな政府にしろ、あるいは社会主義革命を実現しても上手く行くことはない。首相の座に就きすっかり変わってしまったが菅首相も元はと言えば市民運動出身だ。日本社会にそういう新しい潮流を作ることに尽力してもらいたい。−そのためには首相という地位を得たことは却ってマイナスだった。−

 兎はか弱い動物で猛獣の餌食になっていると誰もが思う。だがそれは皮相的な見方で、実は兎は逞しく猛獣のように環境変化ですぐに絶滅の危機に瀕するようなことはない。日本も兎のようなしぶとさを発揮することができるはずだ。兎年の来年が日本の新しい出発点になることを願っている。


(H22/12/26記)


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