☆ 遣るべきことが違う ☆


 柳田法相が解任された。当然だという声が多いが本当にそうだろうか。

 柳田は地元で開催された就任祝いの会で「「個別の事案については答えを控えさせてもらう」、「法と証拠に基づき適切にやっている」この二つを覚えておけば法相は務まる」と発言したそうだ。確かに法相としては不用意な発言ではあった。しかし柳田は事実を述べただけではないだろうか。政治主導などと幾ら叫んでも今の日本の政治家に国家を主導する能力などなく、当然のことながら国会論戦も低次元なものに終始する。法相がこの二つの言葉で答弁ができるというのは真実だろう。それを指摘しただけで解任されなくてはならないほどの失態だとは思えない。自民党政権時代の某大臣のように「女性は子どもを産む機械だ」などという時代錯誤の侮蔑的発言をした訳ではない。謝罪を認め、大臣として適切な言動を心掛けることを約束させればそれで十分だった。実際この発言が評論家や作家などによるものだったら、「低レベルの国会論戦を皮肉った鋭い風刺」と賞賛されても不思議ではない。

 国会議員が今遣るべきことは、柳田を解任することではなく、政治家の質を高め、国会論戦を実りあるものにし、柳田発言が事実に反するようにすることだ。柳田発言はその良い機会だったのだが、政争の具にされ一番肝心なことがまたしても蔑にされた。これでは、いつまで経っても日本の政治の質は上がらない。嘆かわしいことだ。尤も政治家だけではなく何かあるとすぐに辞任を求める報道や国民にも問題がある。


(H22/11/23記)


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