☆ 微熱 ☆


 診察にいき「微熱ですね」と言われるとドキッとする。この程度で一々診察に来るなと言われているような気がするからだ。だが微熱の定義がよく分からない。本を読むと37℃台を微熱と言うらしいが、人によって平熱が違う。平熱が35.5℃の者が36.5℃になったら十分に微熱だと思うが、36.5℃で医療機関を受診しても他に症状がなければ「暫く様子を見てください」で終わってしまう。体温の日内変動も考慮にいれる必要がある。朝起きたときは体温が低く、夕刻になると体温が高くなり、1日で1度くらい高低に差があるから、朝の37℃は微熱だが、夕刻の37.5℃は必ずしも微熱ではないと説明する者もいる。

 歳の所為か近頃平熱が低くなり、36.3℃前後が一日の平均体温になっている。しかし37℃台、特にその前半だと余り身体がしんどいという感じはなく、出社や買い物ができないということはない。これが38℃を超えると本格的に身体が辛くなるから、医者の言う通り、37.5℃程度までなら心配する必要はなく、夜更かしをせず栄養価の高い食事を心掛け無理をしなければ自然に治ってしまうのだろう。とは言え、今の世の中、世知辛い。携帯などというものが普及したお陰で寝ていても仕事が追いかけてくる。静養する環境がなかなか整わないのだ。その結果、微熱でも医院に駆け込み「明日は絶対に仕事を休めないのです」と言い訳をしながら薬をせがむことになる。

 「微熱」でも無理してこじらせたら大変だから会社を1日休んでゆっくり静養することが望ましい。そうすることが健康保険制度を維持することにも貢献する。ところがほとんどの者がそうすることができない。こういう世の中はどこかおかしい。現代社会に微熱があるようだ。


(H22/5/30記)


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