☆ 汝、悪をなすべからず ☆


 英国人女性英語教師殺害事件の容疑者Iが、身柄を拘束された。事件後何度か整形手術をして顔を変えていたという。

 顔を変えるとは巧妙だと思う者もいるかもしれないが、却って逆効果だったと思う。過ぎたるは及ばざるがごとし、いや、骨折り損のくたびれ儲け、いやいや、墓穴を掘るというところだろう。

 指名手配の写真はあちらこちらに貼られているが、家族など関係者以外はほとんど気にしてみない。おそらく、整形などしなくても、髪型や服装を変え、髭でも蓄えれば、誰も気が付かないだろう。ところが整形などするから怪しまれる。整形手術を受ける者は、美しくなって異性に好かれたい、良い就職口を見つけたい、自分の性格を変えたい、などという明確な目的を持っている。しかし、I容疑者の場合は違う。医師にはこういう類の理由を述べたと想像するが、おそらく医師は話しを聞いて疑わしいと感じたに違いない。事実、整形手術をした医師の証言で全てが露呈し、逮捕に至ることになった。

 だがIが愚かだとは言えない。行く先々で、自分の指名手配写真を目にすれば、誰だって心が動揺する。顔を変えることができれば、そう考えるのはある意味自然だ。事件後、彼はそこそこ真面目に働いていたらしい。そして働いて得た金で整形をした。殺人はけっして許されない非道な行為だが、どこか物悲しさを感じさせる。

 人は悪をなしてはならない。それは結局自分自身を損なう。殺人という大罪の場合は特にそうだ。全てを自白して一生を掛けてIには罪の償いをしてもらいたい。そして殺害された女性の魂が天国で祝福されていることを心から祈りたい。


(H21/11/11記)


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