今年の巨人の強さは群を抜いている。坂本を筆頭に若手が伸び伸びとプレーし、他のチームに付け入る隙を与えない。少なくとも交流戦まではそうだった。しかし交流戦に入ってからは五分五分の成績が続いている(5月31日現在)。どうしたのだろう。 おそらく巨人に対する恐怖感がパリーグのチームにはないのだと思う。セリーグのチーム、特に同じ首都圏を本拠地とするヤクルトと横浜は巨人の圧倒的な破壊力、どこからでも大きいのが飛び出し、あっという間に逆転するその底力、強力な先発、中継ぎ、抑え投手、その力の前に粉砕されてきたトラウマで巨人となると竦んでしまう。リードしていてもいつも逆転される場面が脳裏に浮かび、1点でもリードされると終わったような気になる。これが力の差があっても弱いチームが勝てる野球の醍醐味を台無しにし、巨人を独走させている原因だ。 今年のセリーグの優勝争いは、巨人に対するトラウマを他チームが克服できるかどうかに掛かっている。特に、ヤクルト、横浜、阪神の三チームが巨人戦にどれだけ勝てるか、これで今年のセリーグの行方は決まる。オールスター前には、巨人以外のチームはすべて2位狙いなどという事態にならないことを心から祈る。 了
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