☆ ワークシェア ☆


 雇用確保のためにワークシェアをしようという議論が久しぶりに盛り上がっている。ワークシェアとSOHOはもう随分と昔から議論されているがちっとも進まない。確かに色々と課題があり一筋縄ではいかない。果たして今回は進展があるだろうか。

 週休3日制にするから給与・賞与は2割カットと言われたら皆どうするだろう。歳の所為か(若い頃からそうだったような気もするが)通勤が億劫で扶養家族もいない私は大歓迎で諸手を挙げて賛同する。しかしローンや学費で家計が苦しい所帯ではとんでもないと反対するだろう。従業員が自由に選択できると良いのだが、人事労務や労働組合は事務手続きが煩雑になり嫌がるだろう。管理者も勤務管理が難しくなる。しかも横並び主義の日本人の性格からすると、結局ほとんどの者が従来通り週5日制を選択しそうな気がする。経営側は、労働時間を2割削減しても従業員一人に対して(労働時間に関わりなく発生する)固定費があるから賃金2割カットでは割に合わないと主張するだろう。だから勢い、週休3日、賃金3割カットという話しになる。だがこれではほとんどの者が反対する。1日の労働時間を1時間短縮しても管理者、非管理者の別なく残業が恒常化している日本企業では雇用効果は乏しい。賃金カットの代償として勤務時間を短縮すると言われても同意する労働者はいない。

 だが手を拱いてはいられない。女性の就労が当たり前となり定年まで勤める女性が増えている。少子化で若い労働力が減ると言っても、代わりに年金と貯金だけでは生活できないあるいは健康な限り働きたいという高齢者が増えるから日本社会全体としては労働力過剰が続くと予測される。だとするとワークシェアは欠かせない。

 難しい問題で解決策がなかなか見つからない。長期的解決策と短期的解決策はしばしば相矛盾し人々の意見が一致しない。このままいくと世代間の軋轢が益々高まりそうな気がする。

 ほぼ半世紀前、21世紀には科学技術が格段に進歩し労働は全てロボットに任せて、人々は専ら、学問、芸術、スポーツなど創造的な活動に従事するようになると言われた。ところが現実はほど遠い。どうしてだろう。科学技術には限界がある、社会体制が悪い、人間は働くのが好きだ、この3つの理由が考えられる。個人的な意見を言わせてもらうと3番目はないと思う。


(H21/2/2記)


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