☆ 理想の未来 ☆


 環境・資源問題、人口問題、貧困問題、戦争やテロ、こういう現代世界の諸問題の究極的な解決策を考えてみた。

 人間の細胞に植物と同じ葉緑体を組み込み遺伝・発現するようにする。そうすれば人間は他の生物を食することなく無機物と太陽光があれば光合成で生きていける。ただ身体の機能を維持するためにときどき種の存続を脅かさない程度に食事をする。これで食糧問題は解決し、人間による種の絶滅はなくなる。

 課題が幾つか思い浮かぶ。光合成で生きていくためには長時間静かに太陽光を浴びていなくてはならないから、猛獣などに襲われる危険がある。しかし、これは文明の利器で防ぐことができる。

 天気が悪い日や冬など太陽光が十分でないときにはどうするか。二つの方法がある。電気などを使って人工的に光を作りだしてこれを利用する。そうすれば天候や季節に関わりなく活発に行動することができる。これが普通の考えだが環境への悪影響が懸念される。もう一つ方法がある。光が弱い時には静かに思索と詩作をして時を過ごすという方法だ。

 後者を支持する人は少ないと思う。だがこういう生き方をすれば戦争やテロはなくなる。戦争がなくなれば武器は要らない。天敵から身を守る最低限の道具があればよい。普通の家と猛獣が多い場所では弱い電気が流れる金網か何かを設ければ十分だ。他には、自然環境を汚染する物、他人を傷つける物は一切不要になる。これこそが、世界の諸問題を解決し、人が目指すべき理想の未来ではないだろうか。

 それでも、そんな詰らない生活は嫌だと大多数の人は言うに違いない。やはり人間は罪深い存在だ。



(追記)
 大人で一日約2000カロリーの栄養が必要だが、光合成ではこれだけのエネルギーを得ることはできない。だから本当のところは光合成だけで生きていくには、よく晴れた真夏日でも静かに思索していなくてはならない。活発に動くためには栄養が凝縮された他の生物を捕食するしかない。動物の誕生は悪の始まりだ。しかし人間のように大規模な殺生をする動物は他にはおらず、自分の欲望を満たすために意図的に大規模な自然破壊をする者もいない。人間のみが罰せられるべき悪をなす。人に罪の意識が付き纏うのはけだし当然と言えよう。

(H20/12/23記)


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