☆ ストライク! ☆


 野球のストライク、ボールの判定はよく揉める。五輪でも各チームの投手や打者が不満そうな仕草をすることが少なくなかった。

 ストライクゾーンは、横はホームベースの範囲、縦は胸元から膝までと決まっている。しかし打者の身長によってストライクゾーンが違ってくる。190センチの打者の高めの際どいストライクは150センチの打者ではボールになり、低めは逆になる。同じ身長でも胴長の選手と足長の選手ではゾーンが微妙に違ってくる。判定が選手の体型で決まるスポーツは野球ぐらいだろう。しかも直立した姿勢で打席に入る選手だと良いが、青木(ヤクルト)のように極端に低い姿勢で構える選手だと、投手も球審もどこまでがストライクゾーンか正確には分からなくなる。横もホームベースで決まっているとは言え、球審は真上からではなく後ろから見ているから、ホームベースを通過したかどうか正確には分からない。投手によって球の出る位置が違うし、変化の大きさも違う。しかも同じ投手でも一球ごとに球種が変わる。ストライク、ボールの判定は実に難しい。

 ストライク、ボールの判定を正確にするには精密な機械を導入するしかない。ホームベースの真上に一台、センターからホームベース方向の適当な場所にもう一台、2台の記録と打者の体型から割り出したストライクゾーンで判定する。こうすれば判定は確実になる。投手や打者が判定に文句を付け試合進行が妨げられることもなくなる。

 技術が発達した現代、必ずホームベース真上とセンターからホーム方向に機械を置く必要はない。だからドーム球場だけではなく、どの球場でも利用できる装置を開発することはさほど難しくないはずだ。だが、それでも今までどおり人間の審判が判定する方がよい。微妙な判定で泣く者がいて(密かに)笑う者がいる、ストライクゾーンを狭く見せるために独特の構えをする、そういうところに野球の醍醐味がある。ミスジャッジが極端に多かったり、判定が一定しなかったりすると問題だが、そうでなければ故意に誤った判定をするのでない限り、人間の審判の方がそこにドラマが生まれて面白い。

 今回の五輪では日本に不利な判定が多かったと言われているが、見れば分かるとおり審判が相手チームを贔屓したくなるほど日本は強くない。メダルを取れなかったから、そういう言葉がでるだけで大きな問題はなかった。他国の選手よりも判定にすぐ動揺することが日本の弱点と言えよう。おそらくそれは国内の試合で審判が選手や監督コーチに気を遣いすぎるからだと思う。国際試合に強くなるために、これからはストライク、ボールで抗議する選手や監督コーチは即刻退場処分にすればよい。


(H20/8/25記)


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