☆ カウンセリング ☆


 現代人は孤独だ。鬱病が認知され精神科の敷居が低くなったら患者が殺到していると聞く。穏やかで人の話しをよく聞いてくれる精神科医は現代人のオアシスのような存在だろう。だが精神科医が人生相談をしていたのでは治療の妨げになる。

 気軽にカウンセリングが受けられるとよいのだが日本では認知度が低く、しかも保険が適用されないから費用的に敷居が高い。日本人の性格もなかなかカウンセリングに合わないように感じられる。友人に臨床心理士がいるが、何だか照れくさくてカウンセリングを受ける気にならない。

 とは言え、核家族化、高齢化、少子化が進み周囲に相談相手がいなくて苦労している人が増えている。ICTの進歩と普及は多くの人とのコミュニケーションを可能にしたが、面の拡大に反比例してコミュニケーションの深さは寧ろ浅くなっている。友人はたくさんいるのに孤独を感じる人が増えているのはその所為だろう。

 自殺者数が高水準で推移し、鬱病など心の不調で休職、休学している者が増えていることから、企業や教育機関もカウンセラーを置くところが増えているが、効果が現れているとは言い難い。

 組織や制度の問題もあるが、心の持ち方にやはり問題があると思う。自分もそうだが、平均的な日本人は見ず知らずの他人に自分の弱さを晒すのは恥ずかしいという感覚がある。鬱病という病気になれば医師の診察を受けに行くのは当然と納得できるのだが、カウンセリングだとそうもいかない。

 カウンセリングなどしなくとも楽しく創造的な暮らしをすることができれば問題はない。だが現実にはそう上手くはいかない人が多い。孤独な現代人にとってカウンセリングは良い人生を歩むために役立つ。肩肘張って強がることを止め自分の弱さを曝け出す勇気を持つことも大切ではないだろうか。


(H20/5/24記)


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