☆ 5月病に負けない ☆


 以前ほどではないが、この時期になると5月病という言葉をよく耳にする。就職や進学、人事異動やクラス替えで環境が変わり体調を崩すことを意味している。しかし、個人的な経験だと、別に生活環境が変わらなくてもこの時期は心身ともに調子を崩しやすくなる。筆者の場合は特に気分の浮き沈みが激しくなるという印象がある。

 冬の寒さから夏の暑さへと移り変わる今の季節は、雨の日が多い鬱陶しさはあるけれど、寒くもなく暑くもない程良い気候で、散歩をすれば木々の青葉が目を楽しませてくれる一年で一番過ごし易い季節でもある。それなのに体調を崩すのはやはり生活環境が原因なのだろうか。

 確かにそれも影響しているだろう。しかし、生活環境がほとんど変化していないのに心身が変調をきたすことを考えると、それだけでは説明が付かない。季節の変わり目は要注意という警句があるが、その言葉のとおり季節と体調は連動している。

 寒いのも暑いのも勿論辛い。しかし人間の身体にはそれに順応する機能が備わっている。ただ温度センサー付きの冷暖房機のように瞬時に順応するわけにはいかない。だから温度と湿度が毎日のように変動する春や秋は体調が不安定になる。そこに進学や就職という一大イベントが加わることで5月病が起きる。

 進学や就職時期を真冬や真夏にするわけにもいかないだろうから5月病を避けることは難しい。だとすると5月病に負けない工夫が必要になる。

 人は蝶のように変態することはないが、5月を蛹の時期に喩えることができる。蝶にとって蛹は外敵に抵抗する手段がなく最も無防備な時期だ。人も同じで5月は最も無防備な状態になる。

 でも蝶から学ぶことができる。蛹は動くことができず無防備だが枯葉のように目立たない姿をして敵を欺くことができる。事実、蛹になる前と比べて蛹になると捕食されにくくなると聞いたことがある。人も真似すればよい。進学や就職したら誰でも頑張って周囲に良いところを見せようとする。でも無理はしない方がよい。壁にぶつかったら力で突破を試みるよりも蛹のようにじっとして力を蓄える方が賢明だ。いずれ必ず美しい蝶になるときがくる。


(H20/5/3記)


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