☆ 鰻に感謝 ☆


 今年は7月30日が土用の丑の日だ。土用の丑の日と言えば蒲焼なくして語られない。夏場の猛暑を乗り切るには鰻が一番だ。

 鰻は不思議な魚だ。海で産まれ、川に上り、川で育ち、産卵のために海に下っていく。鮭など多くの魚は川で産まれ、海に渡り、海で育ち、産卵のために川に戻ってくる。鰻だけ逆さまだ。

 川で産まれ海で育つのは理に適っている。川より海の方が、餌が豊富で成長するのに適しているが、外敵が多い。だから外敵が少ない川で産まれ、ある程度成長してから海に下るのは賢い選択と言える。だが鰻は外敵が多い海で産卵して、餌が少ない川で成長する。鰻は頭が悪いのだろうか?

 鰻の産卵場所は長い間謎だった。だが最近漸くその場所がマリアナ沖であると判明した。どうやら、その近辺は外敵が少ないらしい。それに、陸でも短時間ならば器用に行動できる鰻にとっては海より川の方が暮らしやすいのだろう。鰻は愚かではなく、ちゃんと考えて行動しているのだ。尤も賢くなければ進化の過程で生き残ることなど不可能だから、鰻が愚かなのではないかと考える私の方が愚かなのだ。

 この鰻の知恵のお陰で日本人は夏場の暑さを何とか乗り切ってきた。土用の丑の日には鰻の叡智に大いに感謝しよう。尤も、鰻にとっては迷惑な話しだろうが。


(H19/7/23記)


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