☆ 薬と副作用 ☆


 脳梗塞の特効薬で死亡した人が48人もいると報じられている。危険性は認識されており使用基準も定められているが、必ずしもきちんと守られていなかったようだ。医療関係者には基準の遵守が求められるが、基準は万能ではないし、時とともに変化する。患者から薬の使用を強く求められることもある。この辺りは医療関係者としても判断が難しいところだろう。

 どんな薬にも副作用がある。漢方薬は副作用がないと信じている東洋医学信奉者をときどき見かけるが、漢方薬でも副作用で死者が出たり重い障害を患ったりすることはある。第3世代の抗鬱薬と呼ばれ日本でも7年前に認可されたSSRIと呼ばれる薬は、それまでの抗鬱薬に較べて格段に副作用が少ないと言われたが、近年、未成年者ではSSRIの服用が自殺を増加させるという調査結果もあり、若年層への投与は要注意とされている。

 薬と副作用はトレードオフの関係にある。薬を使用しないで病気が悪化するリスクを負うか、副作用のリスクを負うか、いずれかを選択しないといけない。辛い選択だ。だが、命に関わる病気の場合には少々副作用が危惧されても薬の使用を選択する。

 難しいのは薬を使用しなくても治る可能性が高いが、回復までに時間が掛かる、あるいは、確率は低いが悪化した場合に後遺症が残る可能性があるというような場合だ。

 こういうときにどういう判断をすればよいだろうか。日本人の医者に対する信頼は信仰心と言ってもよいほどに篤く、筆者も含めて医者に任せるという人が多い。だが、自分の健康に最終的に責任を持つのは自分自身だ。薬を処方されるとき、自分の体質や副作用の経験、服用中の薬などをよく説明して、薬の効果と副作用を確認することを心がける必要がある。


(H18/10/30記)


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