今年81歳になった父親が数年前からパソコンの勉強を始めている。大分上達して、色々と質問をされても答えられないことが増えてきた。 だが、父親がどうしてもよく理解できないのが、ドライブ、フォルダ、ファイルというOSのディレクトリ構造の概念だ。デジカメで撮影した写真をCD−Rに書き込むことがどうも苦手らしい。理由はドライブの概念がよく呑み込めていないからだ。 父親だけではなく、他の高齢者もドライブ、フォルダ、ファイル、さらにはデバイスやデバイスドライバーのような抽象的な概念に苦労している。高齢者だけではなく、メカや数学が苦手という人もこういうところで躓くことが多い。 以前コンピュータの原理を勉強することが大切だと語ったが、普通の人が普通に使う分には、コンピュータの原理など知らなくても、簡単に操作できる方がよいに決まっている。パソコンは様々な目的に使うことができ、習熟すれば大変便利で有益な道具になる。高齢者や数学の苦手な人でも簡単に使いこなすことができるパソコンの普及が望まれる。 コンピュータを使いこなすための最大の障害が、ドライブ、ファイル、ディレクトリなどの抽象的な概念だ。WINDOWSパソコンは大分使いやすくなったが、やはりまだディレクトリ構造などOSの基礎概念を理解しないと十分に使いこなせないことが多い。 MacのOSは、WINDOWSより遥かにヒューマンフレンドリーで、OSの論理的な構造など知らなくても容易に使えることができた。だが、残念なことに、システムダウンの多さ、ハードとソフトが一体となっているためにMAC以外の機種にOSが移植できないという弱点があり、その優れた操作性にも拘わらず、WINDOWSパソコンに圧倒された。シェアが下がることで、MACはアプリケーションの数もWINDOWSに大きく遅れをとることになり、益々シェアが落ちるという悪循環に陥った。 WINDOWSがシェアを独占して、機能は充実していったが、高齢者や初心者のために使い勝手がよくなったとは言えない。WINDOWSの対抗馬などと言われるリナックスはさらに専門的で素人には手が出ない。その結果、安いとは言えないパソコンがWEB閲覧とメールの送受信にしか使われないという実にもったいない状況が出現してしまった。今のままでは、パソコンは携帯電話や地上デジタルテレビに取って代わられ、廃れていくのではないだろうか。 パソコンの潜在能力は高い、それはテレビや携帯電話を遥かに凌ぐ。だからこそ、もっと使い勝手がよく、父親が息子に使い方を聞かなくてもすむようなパソコンの登場が強く望まれる。ビル・ゲイツの後継者よ、よろしく頼むぞ。 了
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