☆ 賢い生きる知恵 ☆


 ネイチャー誌3月10日号にこんな論文が掲載されていた。毒のない蛙が毒を持つ蛙2種類と共存している。毒のない蛙は捕食者から逃れるために毒蛙に擬態をしている。毒蛙のうち1種類は強い毒を、もう1種類は軽い毒を持っている。さて毒を持たない蛙はどちらを真似しているだろう。普通に考えると強い毒を持った蛙の真似をした方が有利に思える。ところが、この蛙は弱い毒を持つ蛙に擬態している。

 この不可解な現象は捕食者の行動に原因があった。強い毒を持つ蛙を捕食して痛い目にあった鳥は、それ以降、毒を持つ蛙に少しでも似た者はけっして捕食しないようになる。一方弱い毒を持つ蛙を捕食した鳥は、それ以降、その蛙によく似た蛙だけを選択的に避けるようになる。これはよく考えると道理に適っている。強い毒は命に関わる。命に関わるような目に会えば誰でも慎重になる。一寸でも怪しそうな者には一切目もくれなくなる。しかし弱い毒ならばそれとよく似ている者だけを避ければ良い。毒があり不快だが命を失うほどでなければ、必要以上に警戒するのもばかばかしい。

 だから、無毒の蛙は弱い毒を持つ蛙を擬態しているのだ。そうすれば、強い毒の蛙を捕食して痛い目にあった鳥からも、弱い毒の蛙を捕食して不快な気分を味わった鳥からも自分の身を守ることができる。

 人間社会にもこれは応用が利きそうだ。軍備拡張で国を守ろうとする国を真似るよりも、ほどほどの軍備で満足している国を真似て、しかも実際はほとんど軍備がないというのが一番賢い遣り方かもしれない。尤も、人間が鳥ほど慎重ではないのが難点だ。


(H18/3/15記)


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