ヤクルトが古田に正式に監督就任を要請した。古田は受けるだろうか。 ヤクルトは2001年の日本一以来主力選手を次々と大リーグと国内他球団に放出してきた。さらに来年は石井と岩村という投打の主力が抜ける可能性が高い。二人とも大リーグ入りを熱望しており球団社長も容認の方向だ。しかし、これで果たしてまともなチーム作りが出来るのだろうか。カープのシンボルとも言うべき山本浩二が5年連続Bクラスの責任をとって今年限りで退団する。古田もその二の舞になりかねない。監督の才覚と手腕はチーム作りに不可欠だが、球団がバックアップをして補強に努めなくては強いチームが作れるはずがない。 ヤクルトは、新規事業分野に積極的に進出してグループの巨大化を目論むような企業ではない。自前の高い技術を大事に使って地道に利益を上げていくタイプの会社だ。そのこと自体は勿論悪いことではない。だが、こういう企業文化を持ち、しかも知名度はすでに十分に高いと言えるヤクルトにとって、球団保有の経営上の意義は小さい。球団を手放したところで、ヤクルト本体の事業には少しもマイナスは生じないだろう。だとすれば球団は最低でも収支均衡しなくてはならない。ところが10億円程度の赤字というのが実情らしい。 巨人戦の不人気、有力選手の放出で来年は収益の一段の落ち込みが予想される。ファンとしては収益向上による収支均衡を期待したいのだが、日ハムの新庄人気が1年で冷えてしまったようにプロ野球全体の人気が退潮している状況下容易ではない。収益が増えないのならば支出を削減しなくてはならない。だが、球団の費用削減は容易ではなく、高給の選手の年棒を減らすか外部に放出するかしか方法はない。だが、この遣り方では悪循環に陥りどこかで破綻するに違いない。 球団経営は広告宣伝だという考えもある。ソフトバンクなどはそうだろう。赤字が出ても広告宣伝費と考えれば高くないと。しかし、これは決して健全な考えではない。儲けが出なくても良いが赤字は好ましくない。Jリーグも一時期多くのチームが赤字状態に陥ったが今ではほとんど黒字化している。これが正しい経営のあり方だ。 もはや各球団の努力だけではどうしようもないところまで来ている。プロ野球機構全体でよい方向を見つけ出していく努力が不可欠だ。だが、機構側の責任者達は依然として読売の渡辺会長の顔色を伺うばかりで一向に抜本的な対策を打ち出すことができないでいる。 熱烈なファン層が中高年男性に偏っているという欠点はあるが、各種調査でもプロ野球の人気は依然として高くサッカーに負けていない。大リーグも一時期は低迷していたが見事に復活したことを考えれば、知恵を絞れば日本のプロ球界も復活のチャンスは十分にあるはずだ。大リーグやJリーグを参考にして早く抜本的な改革を実行してもらいたい。 とにかく、古田が3年連続最下位の責任を取って退団などという事態にならないことを切に希望する。 了
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