☆ 選手を大事に使って ☆


 スワローズの五十嵐が肉離れで登録を抹消された。とうとう怖れていたことが起きてしまったという感じだ。

 昨年来、五十嵐は随分と制球がよくなったとは言え、まだまだノーコンの域に近い。球が速い分、バッターもコツコツと当ててくるから、打者1人2球で仕留めるなどということもできない。勢い球数が多くなる。1イニングだけで20球くらいは投げることが多く、先日のように延長になり2イニング投げると50球になる。

 こういうピッチャーを3連投も4連投もさせたらどうなるか、簡単な計算だ。4試合で先発ピッチャーが完投したときと同じ球数を投げることになる。しかも、絶対に打たれてはならない状況で投げる。たとえ登板しなかった日でも常にいざというときに備えて練習をしておかなくてはならない。

 こんな状況が昨年からずっと続いていたのだ。3連投したら、必ず最低1日は休ませる。それも先発メンバーから外して完全休養をさせる。どんな状況でも1イニング限定にする。こういう配慮が必要だと常々思っていた。だが、それを怠って、常時五十嵐をベンチに入れていた。そして、3連投以上を何度もさせている。これではいつか怪我でリタイアすることになると容易に予想ができた。

 地味なスワローズでは、五十嵐は古田、ラミレスと並ぶ数少ないスターだ。スターを大事にしないで目先の勝利に拘っているようではお客さんを球場に呼ぶことは出来ない。

 スワローズは90年代4度リーグ優勝し、3度日本一に輝いている。2001年にも日本一になっている。それなのに、92年に14年ぶりの優勝を果たして以来観客動員は減り続けている。

 野村、若松という歴代の監督が勝ちに拘り、スターを育ててファンを増やすということをしてこなかったツケだ。だが、本当の責任は両監督ではなく、選手補強とファンを増やす努力を怠った球団にある。現場の監督が勝利を優先するのはある程度致し方ないことだ。−とは言え、両監督は些か行き過ぎだ。−

 もしヤクルト本社が球団の所有に意義を感じなくなっているのであれば、さっさと手放してもらいたい。引き受け先はあるはずだ。意義ありと考えているのであれば、観客数減⇒収入減⇒費用削減⇒選手放出⇒観客数減という悪循環を断つ努力をしてもらいたい。

 スピードガンの表示は些か過大という感もなくはないが、スワローズファンのみならず、五十嵐は日本球界のスターの一人だ。大事に使う、大事に使える環境を整える工夫をしてもらいたい。


(H17/4/10記)


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