9月29日に、直径5キロメールほどの小惑星が地球に大接近する。月までの距離の約4倍、155万キロメートルまで近づくというから、かなり際どいところまで来ている。地球の直径が約1.3万キロだから、それに較べれば、まだまだ遥かに遠い、大きさから考えても全然心配することはないと専門家は笑うだろう。 とは言え、6500万年前に隕石の衝突で恐竜は滅んだのだ。小惑星が地球に激突して、人類が絶滅する可能性だってゼロではない。 直径5キロ程度の小惑星が東京に衝突したらどうなるだろう。関東圏は全滅だ。一人も生き残る人間はいない。他の地域でも大地震で壊滅的な被害を受ける。韓国、北朝鮮、台湾にも大きな被害が及ぶだろう。 これが、恐竜絶滅を引き起こしたと考えられている直径20キロメートル級の小惑星だったらどうだろう。日本列島は吹っ飛び、アジアの多くの地域も壊滅的な被害を受ける。膨大な粉塵が太陽光を遮り、地球の表面は氷で覆われる。おそらく、数年のうちに人口は現在の10%以下になる。いや、絶滅の危機に瀕するかもしれない。 考えてみると、人類というのは恐竜と同じで、今の世界では支配者的存在だが、地球的規模の大災害があると案外弱い。地球に匹敵する規模の惑星が衝突して木っ端微塵になればとにかく、20キロを超える巨大隕石が衝突しても、かなりの数のバクテリアや菌類、原生動物などはしぶとく生き残る。地上が氷で、あるいは火で覆われても、生き残る。昆虫や小動物なども首尾よく生き残るものがたくさんいるだろう。そして、そういう生物が新しい進化の出発点となり、地球に新しい生命圏を作り出す。 人類は、文明の利器を使って、事前に巨大隕石や惑星の衝突を予測して、それを破壊することができると期待する人もいるかもしれないが、現実には難しい。地球に影響を与える前に核兵器で粉々に破壊することは、少なくとも現時点では技術的に不可能だろう。 万一、直径200キロメートルを超える巨大な小惑星や彗星が地球に向かってきたら、どうしようもない。ただ、神や仏に感謝と祈りを捧げ、最後の日まで心穏やかに過ごす努力をすることしか出来ない。 人類は今のところ大いに繁栄しているが、生命あるものはいつか必ず滅びる。人類も同じだ。遅くとも、太陽が赤色巨星となり地球を飲み込む日には確実に滅びる。もちろん、それよりずっと前に巨大な惑星が衝突して人類が滅びる日が来るかもしれない。 しかし、こういう自然の摂理で人類が自然界から退場するのであれば、それはそれでやむを得ない。それが逆らうことができない自然の理なのだから。だが、戦争など人間の愚かな行為で人類が地上から退場する日が来ることだけは避けなくてはならない。 了
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