☆ 憂える読売ファンを絶賛する ☆


 憂える読売ファンの提言を読んだとき、スワローズファンである私は最初怒りに身体が震えた。だが、3秒間熟慮した結果、憂える読売ファンの提言が完全に正しいことを認識した。

 そもそも、巨人軍とは、読売中興の祖である偉大なる正力松太郎氏が、日本人を共産主義の魔の手から救い出すために作った最強軍団だ。敗戦後、日本では、共産党と社会党最左派の協会派などマルクス主義者とそれに指導された労働組合が日本全土津々浦々で巨大な影響力を発揮していた。この状況を深く憂えた偉大なる正力氏は、巨人軍という素晴らしい野球チームを作り日本人に生きる喜びを与え、共産主義という妖怪から人々を救おうとした。

 この戦略は大いに効を奏したが、妖怪たちもなかなか手強く、東京、大阪、京都などを根城に革新自治体なる強固な組織を全国に打ち立て逆襲を開始した。まさに、戦後日本最大の危機であった。そのときである。戦後日本の、いや日本史上最大のスーパースター、ミスタージャイアンツこと長嶋茂雄氏が、人々の目を覚ました。

 『しかし、社会主義になるとプロ野球が出来なくなるから困りますねぇ。』

 この一言で形勢は一変する。たかがゴムボールを棒でひっぱたくだけのお遊びに大金を費やすことくらいブルジョア的腐敗を象徴するものはない。だが、人々は気がついた。「俺たちはブルジョア的腐敗が大好きだ!」

 日本は正常化した。革新自治体は次々と崩壊して、マルクス主義者に指導された労働運動も消滅した。いまや、社会党は存在せず、共産党は「党の規律で国会議員は外で酒を飲んではいけないと決められている。」などと思わず口走って世間の失笑を買っている。

 読売は、こうして、世界で最も高潔で有能な政党である自民党と世界で最も頭脳明晰な高級官僚と手を携えて日本の危機を救ってきた。お陰で、いまや日本は世界一平和で豊かな国だ。寿命世界一がそれを雄弁に物語っている。人々は世界一面白い巨人の試合をいつでもテレビ観戦できる。近いうちに携帯電話でも観ることができるようになるらしい。素晴らしい!の一言だ。

 政界では、偉大なる首領小泉純一郎が国民を指導している。小泉首相が、世界一頭がよく世界一慈悲深い政治家であることは火を見るより明らかだ(火を見たことがない人にとっては)。お隣の韓国では盧武鉉大統領が日々知恵を絞って難題と取り組んでおられるが、我らの小泉さんにはそういうことはありえない。「自衛隊を多国籍軍に参加させるのは当然だ。」、「年金などどうでもよい。」、「理由はないが郵政事業は民営化する。」など瞬時に正しい政策を見つけ出すことができるから、頭を使う必要がない。事実頭を使うことはない。凄い!の一言だ。

 読売の功績がいかに巨大か、巨人が日本人の生活にどれだけ貢献した・しているか、世界一幸福な国に生きる我々日本人は、よく考え心から感謝しなくてはいけない。奇麗事を言うだけでものの役に立たない朝日や毎日あるいは社民党、見るも無残な下手なプレーばかりしているスワローズやバッファローズなどと較べてみるとよい。その偉大さは一目瞭然だ。

 だが、「小人閑居して不善をなす」、「バカにつける薬はない」の喩えのとおり、バカは懲りない。憂える読売ファンのありがたいお言葉に接しても、性懲りもなく神宮球場で「頑張れスワローズ、巨人にだけは負けるな。巨人なんか永遠に絶滅だ。」と喚きたて、投票場で参議院比例区に「日本共産党」とか書いたりする。本当に困ったものだ。でも、本当に読売が偉いのか一寸疑問だ。


(H16/6/25記)


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