老舗球団近鉄バッファローズが今年で店仕舞をする。それも吸収合併という悲劇の終末だ。バッファローズは12球団で唯一日本一を経験していない球団だった。だが、今の成績では有終の美を飾る可能性は薄い。こういう結末はある意味バッファローズに相応しいものなのかもしれない。 日本一の夢を果たすことなく消えていくバッファローズ、だが、球界に残した足跡は巨大だ。鈴木、梨田、野茂など日本球界を代表する名選手を産み育ててきた近鉄、現役のチーム名からは消えても「近鉄バッファローズ」の名は永遠だ。 近鉄の消滅で、1リーグ制への移行が必至となっている。今のままでは、パリーグの各球団はすべて破綻してしまう。来年すぐに実現しなくても、遠くない将来統合されることは間違いないだろう。 だが、1リーグ制になると、巨人戦と阪神戦が半減する(筆者が応援する)ヤクルトスワローズはすぐに経営難に陥る。3年前に優勝して以来、ヤクルトは、石井一久、ペタジーニ、高津と毎年主力選手を放出してきた。1リーグ制になり収入源が避けられないとなるとこの傾向は益々加速する。結果、成績の低迷、観客数の減少という悪循環に陥る危険性が高い。 他の球団に頼るような姿勢がいけないと他球団のファンからはお叱りを受ける。だが、巨人という超人気球団が控える東京でファンを増やすことは容易ではない。高津がかつて「ヤクルトファンは球場に来てくれない。」と嘆いたことがある。だが、そんなことはない。元々、巨人や阪神とはファンの数が一桁違う。ヤクルトファンだけで球場を満員にすることはできないのだ。 フランチャイズを変えたらどうかと言われることがある。だが、巨人戦や阪神戦ですら閑古鳥が鳴いている広島球場をみていると、フランチャイズを変えることで収入を増やすことも難しいと思う。それに、筆者としては神宮球場から去ってほしくない。 となると、そう遠くない将来、国鉄以来の老舗スワローズも消え去る運命のように思えてくる。今の経済状況では、買い取る企業は出てこないだろう。 これも時代の流れなのかもしれない。野球人気は確実に衰えている。若年層では野球よりサッカーに人気がある。だから、長い目で見ても、野球人気が復活する見込みは薄く、維持していくのが精一杯だろう。 ただ、巨人関係者に一言言いたい。巨人から見れば、近鉄ファンやスワローズファンなど物の数ではないかもしれない。しかし、近鉄やスワローズが消えれば、ファンは野球から確実に離れていく。いまは筆者もヤクルト戦以外の試合もテレビ観戦しているが、それは、その先にヤクルト選手がプレイしている姿が透けて見えるからだ。ヤクルトが消滅したら、野球の試合など、球場に足を運ぶことはもちろんのこと、テレビ観戦することもなくなる。近鉄ファンの大多数も同じだろう。球団を減らして1リーグ制にした方が、野球人気が高まるなどと思っていたら大間違いだ。球団が消滅するたびに確実に野球ファンは減少していく。そのことを肝に銘じて将来構想を立ててもらいたい。 了
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